ソチ五輪EXPRESSBACK NUMBER
苦しい戦いのスピードスケート陣。
パシュートに勝算がある理由とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2014/02/17 11:20
1500メートルで25位に終わった田畑。日本から出場の4選手はいずれも同組の選手についていけず、大きく離された惨敗となった。
圧勝劇を続けるオランダ勢には、大きく水を開けられた。ロシア勢も10位以内に4人が入った。苦しい戦いが続く日の丸スピードスケート陣。日本選手団の副キャプテンを務める39歳の田畑真紀を筆頭に、精鋭を送り込んだ女子1500メートルでも、上位に食い込むことは難しかった。
けれども、まったく光明を見いだせなかったわけではない。日本は田畑以外の3人が五輪初出場。それぞれが初めての五輪で多くのことを体感できたレースだった。
2分2秒16で32位に沈んだとは言え、社会人3年目の高木菜那にとって、ソチ五輪の1500メートルは夢に向かう大きな第一歩となった。
バンクーバーでは妹・美帆の応援をしていた高木菜那。
2010年バンクーバー五輪。高校2年生だった高木は、スタンドで妹の美帆の応援をしていた。当時、美帆は中学3年生。スピードスケート史上最年少で五輪出場を果たし、大会のアイドル的存在として注目を浴びていた。
まばゆい輝きを放っていた妹。4年後には姉妹でソチのリンクに立つと誓い、2011年春、社会人の名門・日本電産サンキョーに入社した。所属チームでは長島圭一郎の滑らかで力強いスケーティングに傾倒し、アドバイスを受けながら徐々にタイムを伸ばしていき、昨年10月の全日本距離別選手権で1500メートル3位、3000メートル優勝。初めてワールドカップ代表メンバーに選出され、姉妹五輪の夢に一歩前進した。
ところが12月の五輪代表選考会で美帆がまさかの代表落ち。ソチには姉だけが来ることになった。1500メートルでは後半の失速が目についてしまったが、ここでめげているわけにはいかない。
「五輪は今まで出てきた大会と比べてすごく緊張した。力が氷に全然伝わらなかった」と反省が口を突くが、すぐに気持ちを21日のチームパシュート準々決勝に向けて切り替えている。