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強さ、立地、条件、注目度、日本人。
田中将大、移籍を巡る“五大要素”。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byNaoya Sanuki

posted2013/12/30 08:01

強さ、立地、条件、注目度、日本人。田中将大、移籍を巡る“五大要素”。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

メジャーでの評価は、過去の日本人投手と比べても最高級。その期待に応えるためにも、環境の選択は慎重にしてほしい。

 田中将大のポスティングによるメジャー移籍がようやく決まったが、楽天にとってはまったく気の毒としかいいようがない展開だった。

 本来は50億円以上の損失補てんが見込まれていたのに、新ポスティング制度の締結にあたって、メジャーリーグ側はまったくなんの根拠もなしに20億円という額を提示してきた。

 田中の移籍のことを考えると、日本側はそれを唯々諾々と従うしかなく、楽天に選択肢はなくなっていった。

 容認の発表まで時間がかかったのは、来季の戦力をどうするのか、金銭、戦力面での損失を最小限にするためにはどんなことが必要なのかを研究していたと思われる。

 すでにケビン・ユーキリスの獲得を発表しているが、今後、楽天が先発の補強をどうやっていくのか、注目したいと思う。

田中は何を重視するのか?

 さて、気になるのは田中の行き先である。

 これまで田中は見事なまでに、メジャーリーグの球団についての希望、好みについて口を閉ざしてきた。楽天に気を使ってのことだったと思う。

 一般的に球団を決めるにあたっての要素がいくつかある。あくまで、一般的な話として読んで欲しい。

●優勝を狙えるチーム

 せっかく移籍するのだから、ポストシーズン進出を狙えるチームがいいと考えるのは当然のこと。ただし、近年は戦力地図が大きく変化し、ピッツバーグ・パイレーツやタンパベイ・レイズが有力球団に成長してきた。反対に、ニューヨーク・ヤンキースはマイナーの有望株が払底し、フリーエージェントの選手を獲得する「自転車操業」。長期的に見ると、資金に頼らざるを得ない。

 田中は長期契約は必至だから、中長期的に戦力が整うチームを見極めたい。

●東か、西か

 人によって東海岸か、西海岸が好きか、好みが分かれる。これは観光客と一緒。たしかに西海岸の都市の方が日本の食材は手に入りやすいし、気候も温暖。

 ケガに苦しんでいた斎藤隆のように、ドジャースに移籍してから体調維持が比較的楽になったケースもある。

 さて、田中の好みは……?

【次ページ】 契約条件、メディア環境、日本人選手も気になる。

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