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ポスティング制度が破棄されたら……。
日本球界を待つ“終わりの始まり”。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2013/11/22 10:30

ポスティング制度が破棄されたら……。日本球界を待つ“終わりの始まり”。<Number Web> photograph by Getty Images

ポスティング制度の見直しを表明したMLBの最高執行責任者ロバート・マンフレッド氏。新案を検討し、改めて日本側に提示する見通しだ。

 ポスティング制度を巡る問題が混沌としてきている。

 一度は日米間で合意しかけた新ポスティング制度を、米国側が突然破棄してきたのは11月14日(日本時間同15日)、米・フロリダ州オーランドで行なわれたオーナー会議直後のことだった。

 同会議では、選手年俸の総額が一定額を超えた場合にかかる「ぜいたく税」の課税対象に入札金を含めるか、含めないかを巡ってニューヨーク・ヤンキースとピッツバーグ・パイレーツの首脳間で、激しいやりとりがあったという。入札金があまりに高騰しすぎて、資金力のあるチームしかポスティングに参加できなくなっている現状に、米国内でも反発の声が高まっているということだった。

 現地で取材していた記者に聞くと、メジャーリーグ機構(MLB)の首脳陣としては、このオーナー会議前に新制度を日米間で合意できていれば、“決定事項”として何とか押し切れるという読みだったようだ。

 ところが、そこで想定外の事態が起こった。

選手会の反対で止まった2週間が“情勢”を変えた。

 日本プロ野球選手会が11月1日、日本野球機構(NPB)に対して反対の意見書を提出して、合意にタイムラグが起こってしまったのである。様々な問題を含みつつも、移籍を希望する選手はとりあえずこの制度を歓迎していたし、ましてや楽天・田中将大投手の移籍を視野に入れていれば、最終的には選手会も合意せざるをえない状況だったはずだ。

 しかし、そこで駆け引きのためとしか思えない「ストップ」をかけて、約2週間も提示案を宙ぶらりんにした。その上で11月14日に「苦渋の決断」と渋面を作って受け入れを表明したが、時すでに遅かったというわけである。

「今日の会議で修正案を提出することが決まった。日本側の返答に時間がかかりすぎている。情勢が変わった」

 記者会見でMLBのロバート・マンフレッド最高執行責任者(COO)が突き放したような口調でこう語ったことが、破談の“原因”を物語っていた。

 今後は米国側が数週間かけて新案を検討、改めて日本側に提示するとしている。

【次ページ】 高騰しすぎた入札金が、MLBの反感を買っている。

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