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ポスティング制度が破棄されたら……。
日本球界を待つ“終わりの始まり”。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2013/11/22 10:30

ポスティング制度が破棄されたら……。日本球界を待つ“終わりの始まり”。<Number Web> photograph by Getty Images

ポスティング制度の見直しを表明したMLBの最高執行責任者ロバート・マンフレッド氏。新案を検討し、改めて日本側に提示する見通しだ。

高騰しすぎた入札金が、MLBの反感を買っている。

「選手のためにポスティング制度は存続させていこうという大きな方向性は改めて確認しましたので、それを前提に交渉を続けることになります」(NPB・井原敦事務局長)

 18日に理事会と実行委員会を開いて協議したNPB側はこう語ったが、米国側からどのような代案が出てくるのかは、まったく予断を許さない状況と言えるようだ。

 もともとは米国側からの要請で作られたポスティング制度だが「いい人材を早く手に入れたい」という当初の思惑を飛び越えて、入札金があまりに高騰してしまったことが、多くのMLB球団の反感を買っている。そのため新しく出てくる案は、入札額を1位と2位の中間に設定し、契約に至らなかったケースは入札球団がMLB機構に罰金を支払う、などとした前回の案よりさらに、入札する米国側に有利な条件で出てくる可能性は高い。

 実は米国側を強気にさせる要因に、キューバのプロ解禁という新たな事情もある。

 キューバ政府が9月に、これまで禁止していた海外のプロチームと選手の契約を認める方針を発表した。米国企業はキューバとの直接的な商取引が禁止されているために、大リーグがそのまま選手と契約することは難しい。ただ、キューバ政府が公然と選手のプロ契約を認めたことで、第3国を経由してこれまで以上に有望選手がメジャーに流入してくる可能性は高くなっている。

 今季も新人王に輝いたマイアミ・マーリンズのホセ・フェルナンデス投手(同投手は'08年に家族とともに米国に亡命して'11年の全米ドラフト1巡目でマーリンズが指名)、ロサンゼルス・ドジャースのヤシエル・プイグ外野手らがメジャー1年目から活躍。この10月には今年のワールド・ベースボール・クラシックで主軸メンバーだったホセ・アブレイユ内野手とシカゴ・ホワイトソックスが6年総額6800万ドル(約66億8000万円)で契約している。

田中の移籍にかかる金額は、キューバ勢の倍。

 このオフにポスティング制度を使って米国移籍を目指すと言われている田中の場合は、移籍金と年俸合わせて1億2000万ドル(約118億円)前後が必要と言われていることを考えれば、キューバからならば、ほぼ半分の経費で一流選手を手に入れることができるわけだ。

「日本人選手がフリーエージェント(FA)権を獲得した後にしかメジャー移籍できないということであれば、30球団にはその方式を受け入れる準備はある」

 そうした背景を踏まえて、マンフレッドCOOはポスティング制度そのものをなくす可能性にまで言及した。

【次ページ】 日本側は、さらに不利な制度案を飲めるのか?

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