スポーツのお値段BACK NUMBER
球団買収は、いくらならお買い得?
買い物上手はSB? 楽天? DeNA?
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/10/25 10:30
球団創設9年目にして、初めてリーグ優勝を果たし宙を舞う楽天・三木谷浩史オーナー。買い物上手は、空を飛ぶのも上手だった。
球界参入のメリットを考える時の「三層構造」。
しかし、コストが高いか安いかだけでは、その「買い物」が成功か失敗かを判断することはできません。親会社が、球界参入によってどんなメリットを享受したかを考える必要があります。
プロ野球チームを持つことのバリューを測る上では、次のような3層構造を考えてみると分かりやすいと思います。
本業への影響や、球団の利益より大きなもの。
球団を保有する親会社にとって、最大のメリットは企業名(ブランド)の認知度が全国的に向上することです。参入時の報道合戦、そして参入後のスポーツニュースでの露出など、そのインパクトは計り知れません。
もちろん、チームのファンが親会社の商品やサービスを購入する(ホークスファンがソフトバンクの携帯に乗り換える、など)といった効果もあるでしょうし、球団会社単体で利益が生まれる可能性もあります。しかし、先に挙げたブランディング効果に比べれば、それらは微々たる問題でしかないのです。
具体的に見てみましょう。
楽天の2004年度の営業利益は約150億円でしたが、昨年度には約722億円へと5倍近く急成長しました。またソフトバンクは、携帯電話の契約数のシェアが2004年の18.2%から24.8%(今年4月時点)へ拡大。いずれも、成長の萌芽期にあったサービスが球界参入を起爆剤として一気に全国区で浸透していった結果と言えます(そうした上り調子の企業だからこそ、球団を買うことができたとも言えるわけですが)。