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球団買収は、いくらならお買い得?
買い物上手はSB? 楽天? DeNA? 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/10/25 10:30

球団買収は、いくらならお買い得?買い物上手はSB? 楽天? DeNA?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

球団創設9年目にして、初めてリーグ優勝を果たし宙を舞う楽天・三木谷浩史オーナー。買い物上手は、空を飛ぶのも上手だった。

0円、200億円、65億円

(左から楽天、ソフトバンク、DeNAが球団を買った金額)

 2004年オフにプロ野球界に新規参入した楽天イーグルスが、球団創設9年目にして初のリーグ優勝、そして日本シリーズ進出を果たしました。ソフトバンクがホークスを買収したのも2004年オフの出来事です。さらに2011年には、DeNAがベイスターズを買収。この10年で、実に3つの企業が新たにプロ野球チームのオーナーになったことになります。今年9月にはロッテ身売りの憶測が(これまでもたびたびあったこととはいえ)一部週刊誌で報道されるなど、今後も「プロ野球チームの売買」に関する動向からは目が離せません。

 果たして、楽天、ソフトバンク、DeNAの「買い物」はお買い得だったのでしょうか?

 スポーツをお金で読み解く新連載、その第1回のテーマとして、複数球団のコンサルティングに携わってきた立場から「プロ野球チームのお値段」について考えてみたいと思います。

 はじめに、参入に際して各社が負担したコストを整理しましょう。

●楽天
・球団を買う費用 0円(新規参入なので買っていない)
・スタジアム関連 約30億円で県営宮城球場を改修、新設した設備を全て県に寄付
(その見返りとして、10年間の管理許可書交付。年間使用料は約5000万円)

●ソフトバンク
・球団を買う費用 約200億円(球団50億円、興行権150億円)
・スタジアム関連 福岡ドーム年間使用料48億円(30年間の使用契約)

●DeNA
・球団を買う費用 約65億円
・スタジアム関連 入場料収入の13%を球場へ分配(従来の25%から減免)
                           スタジアムから球団への広告販売協力金(年間約3億円)廃止

※上記の金額のほかに、NPBへの預かり保証金など30億円を各社が納付

 コストだけを見ると、ソフトバンクが突出していることがわかります。特に年間48億円という球場使用料が目を引きますが、同社は昨年ついにドームの購入に踏み切りました。その額なんと870億円! DeNAはソフトバンクよりは割安で、不公平感の大きかった横浜スタジアムとの契約内容も改善することに成功しました。

 そして、最も安く球団を手に入れたのが楽天。「買わずして」参入を果たすことができ、しかも低いコスト(年間5000万円という球場使用料は、ソフトバンクのざっと100分の1!)で自前の球場を持つのと変わらない条件を手に入れることができました。

【次ページ】 球界参入のメリットを考える時の「三層構造」。

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