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ザックジャパン史上最悪の危機!?
この閉塞感を打破する「熱」を求む。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/10/16 11:45

ザックジャパン史上最悪の危機!?この閉塞感を打破する「熱」を求む。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合を終え、ピッチを後にした本田。今冬には移籍も噂されているが、クラブでも代表でも自らのパフォーマンスを取り戻す必要がある。

布陣や選手を代えても活性化しないチーム。

 ボクシングの世界ではストレートを顔面にヒットさせたければ、腹を打って相手のガードを下げるのが常識。顔面を狙い続けても当たるものではない。逆に腹を打ちたければ、顔を打ってガードを上げさせればいい。

 もっと空いている裏のスペースに蹴ってみたり、違うパターンを織り交ぜることはザッケローニが言う「的を絞らせない」ことにもつながる。

 結局、ベラルーシ戦ではセルビア戦で得た貴重な教訓が活かされなかった。違うパターンを織り交ぜて相手の目先、意識を変えることで狙いのパンチを当てていく――そのしたたかさがなかった。

 また後半途中から3-4-3を試したが、後半40分にハーフナー・マイクを投入して4-2-3-1に戻している。

 3バックにしたのは、「ボールの奪いどころを高いところに持っていきたかった。3トップで中盤の4枚がコンパクトに絞ることによって、中央でボールを奪えるのではないかと考えた」とアルベルト・ザッケローニの言。

 だが中盤の構成力は高まったものの、前線の枚数が足らずにシュートまで持ち込めない。サイドで数的優位をつくる意識も足りない。長身のマイク投入後に高さを活かそうとする攻撃が増えたわけでもない。効果ある変更とは言い難かった。

 布陣や人を代えても、活性化しないのならそれこそ指揮官の責任である。

 後半途中から出場した森重真人、山口螢の2人の頑張りが唯一の明るい材料と言っていいが、チーム全体の活気を生み出すまでには至っていない。

 控えの選手が出てチームが活性化すると、一体感にもつながってくる。W杯で世界と戦うための「進化」……いや、「深化」は必要だ。だがそれ以上に、日本の持ち味である組織力、一体感という「芯化」もないがしろにしてはいけない。それをこの試合では痛感させられた思いがしている。

同じメンバーで4年目を迎えるというマンネリ感。

 ザッケローニはこの遠征で、2試合とも同じメンバーを起用した。

 元々、メンバーをほぼ固定化してきた指揮官であり、連係度を高めるという点ではこれまでに成果もあった。とはいえ、サッカーのチームづくりは3年周期という声もあるなかで、4年目を迎えるザックジャパンがマンネリの時期を迎えてもおかしくはない。活性化という意味で、久しぶりに呼んだ細貝萌、乾貴士、マイクらを使う時間をもっと長くしても良かったのでは、とも思う。

 戦術、交代策を用いながら刺激を与えていくことで閉塞感の芽を摘み、ひいては活性化、チームの躍動に結びつける。4年目という長期政権に入るザッケローニ自身、もう一度、チームを冷静に見つめ直す時期が来ているのではないだろうか。

【次ページ】 本田も香川も淡々とプレーしていた!?

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