日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザックジャパン史上最悪の危機!?
この閉塞感を打破する「熱」を求む。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/10/16 11:45
試合を終え、ピッチを後にした本田。今冬には移籍も噂されているが、クラブでも代表でも自らのパフォーマンスを取り戻す必要がある。
本田も香川も淡々とプレーしていた!?
一体感、総合力なしではW杯を戦えない。
この日、敗北に抗うように最後まで声を張り上げていたのは、川島永嗣だった。
「裏に抜けろ!」「ポジション(を取れ)!」「早くボールを離せ!」「もっとボールを動かせ!」「テンポ! テンポ!!」
危機感を持った指示であり、叱咤だった。
練習では選手同士、意見をぶつけ合っている様子だが、しかしこの日のピッチではチームを引っ張らなければならない本田も香川も、淡々とやっている印象を受けた。指揮官や他のメンバーも含め、危機感があったとは思えない。
香川は今のスタイルを貫く覚悟だ。
「ここで下を向く必要はないし、バラバラになることが一番(いけない)。ほぼ同じメンバーで何試合もやっていますし、ここで空中分解というか、このチームに疑問を持ったときに一番やってはいけないことが起きると思うし。まずはやっぱり、このチームを信じてやり続けるしかない」
一方の本田は前向きに語る。
「前回のW杯では、(危機感を持った意見のぶつけ合いを本大会直前の)スイスのキャンプでやった。そこは少なくとも進歩している。このままでは負けるぞ、と(いまの時点で意見をぶつけあっているのだから)」
信念と柔軟性。
11月の強豪オランダ戦は苦戦必至だが、危機感をピッチで表現できなければ、ますます厳しい世論の風が吹き付けてくるに違いない。
本田に熱を、香川に熱を、そしてザックに熱を。
ここで変わらずして、いつ変わるというのだ。