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ザックジャパン史上最悪の危機!?
この閉塞感を打破する「熱」を求む。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/10/16 11:45

ザックジャパン史上最悪の危機!?この閉塞感を打破する「熱」を求む。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合を終え、ピッチを後にした本田。今冬には移籍も噂されているが、クラブでも代表でも自らのパフォーマンスを取り戻す必要がある。

 冷たい空気が、冬を迎えるジョジナをずっと支配していた。

 ベラルーシ郊外にある、ゴール裏のスタンドがない小さなスタジアム。選手たちの息遣いまで聞こえそうな位置からゲームを眺めたが、冷気を忘れるほどの熱をピッチから感じることはできなかった。寂しい光景だった。

 日本代表は10月11日に0-2でセルビアに敗れたのにつづき、15日にはベラルーシに0-1で完敗した。

 1点ビハインドはよくあるパターンである。ここからが試されるはずなのに、必死にゴールに向かう姿勢が見えてこなかった。抑揚なく、ただ淡々と時間が過ぎていくだけ。敗北を受け入れまいと、もがくことも、抵抗することもなく、あまりにおとなしく幕を下ろした感があった。W杯欧州予選最下位の相手に負けたことより、それが残念でたまらなかった。淡々と時間が流れていくのを、拒めなかったことを。

 セルビア、ベラルーシというW杯出場の望みが絶たれた二カ国とのアウェーマッチは結局ノーゴールでの2連敗。自分たちの武器であるスピーディーなパスサッカーが、今のままでは欧州の中堅、それ以下のレベルで通用しないという現実を突きつけられた試合になった。あくまで細かいパスワークにこだわった分、流れを変えるどころか、より深みに入った印象だ。希望を見出せていたなら、もっと違う終わり方だったはずである。

 目の前に現れた大きな壁に、彼らはただただ呆然と、策なく立ち尽くすしかなかった。そんな感じだった。

「監督も選手も悲観はしていない」

 試合後、モスクワに移動する前、スーツ姿で報道陣の前に立った本田圭佑は久しぶりに口を開いた。

「方向性は何も間違ってない。自分たちのサッカーを貫けているのは僕は進歩だと思うし、ここでみなさんに叩かれてブレるようなことがあれば一番ダメなこと。

 今はW杯用に多くのものを出そうと組み立てている段階。新たなトライをしていることで、前の良さが出ていない。そのへんのチグハグさは多少あると思うけど、妥協はないし、監督も選手も悲観はしていない。いろんなシミュレーションをしながら、やっている」

 新しいトライも見える。

 その一つが、「勝負時の数的優位」だろうか。

【次ページ】 パスミスからのカウンターに手を焼き始め……。

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