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ブランコが見据える二冠王への道。
移籍で目覚めたチームバッティング。
 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/10/02 11:25

ブランコが見据える二冠王への道。 移籍で目覚めたチームバッティング。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

本塁打は19本差と届きそうにないが、バレンティンとの打率差はわずか.002。打点は6点差でリードし、2人で三冠を占めることは確実な状況。最後のつばぜり合いを制するのはどっちだ。

バレンティンと19本塁打差でも、窺える充足感。

 打率はバレンティンに2厘差に迫る3割3分。打点は134。相手に6点差をつけてトップを走る。本塁打は19本差と遠く及ばない(数字は10月1日現在)。それでも、ブランコからは充足感が窺える。

 なぜなら、彼には明確な打撃スタイルが存在するからだ。

「本来、自分はホームランを狙っているわけではないんだ。打席で意識していることはヒットを打つこと、ランナーがいれば打点を挙げることを心掛けている。その結果、たまたまホームランが出ているだけ。自分は、常にチームが勝つことだけを考えてプレーしているんだ。もちろん、そこに打率や打点、ホームランという記録が加われば最高だけどね」

 中日時代から3割を超えたことは一度もない。むしろ、来日1年目の'09年に本塁打王に輝きながらリーグワーストの三振数を記録したように、「ホームランか三振か」といった典型的な長距離ヒッターのイメージがブランコにつきまとうという現実もある。

 中軸を任されている以上、打点を意識することは理解できる。しかし、今の彼は打率にもこだわっているというのだ。もしかするとそこには、今季からプレーするDeNAというチームの現状が大いに関係しているのではないだろうか。

勝利のためなら、ホームランにこだわりはしない。

「私は、DeNAを優勝に導くために移籍してきたんだ」

 春季キャンプから力強く宣言していたブランコのパフォーマンスは、まさに有言実行そのものだった。

 シーズン開幕当初は、どちらかと言えば本塁打に話題が集中していた。4月に球団記録を更新する月間14本をマークするなど、連日のようにアーチを量産するブランコに、周囲は日本記録の55本超えを期待した。

 それでも彼は、この時からやんわりとではあるが記録更新への期待に釘を刺していたのだ。

「球場に来てくれたファンのみなさんにホームランをお見せしたいけど、そこにこだわりはしない。ホームランに関して大事なことと言えば、自分の記録である39本を超えることだけだよ。一番の目標は3割、40本、100打点。ベイスターズは、本当にみんなが『塁に出よう』という意識が強い。だからこそ自分も、今まで以上にコンパクトにバットを振ることだけを考えよう、と思えるんだ」

【次ページ】 CS進出は消えても、チームプレーに徹し続ける。

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