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ブランコが見据える二冠王への道。
移籍で目覚めたチームバッティング。
 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/10/02 11:25

ブランコが見据える二冠王への道。 移籍で目覚めたチームバッティング。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

本塁打は19本差と届きそうにないが、バレンティンとの打率差はわずか.002。打点は6点差でリードし、2人で三冠を占めることは確実な状況。最後のつばぜり合いを制するのはどっちだ。

CS進出は消えても、チームプレーに徹し続ける。

 昨季まで5年連続で最下位と低迷しながら、今季は「勝」をスローガンに掲げ退路を断ったDeNA。そのチームに救世主として呼ばれたからこそ、自身のプレーに責任を持つ。環境の変化は、ブランコに確固たる信念を与えた。

 8月に入るとバレンティンが本塁打を量産しはじめ、日本記録への話題はブランコから彼へと切り替わった。それでもブランコは、球団初のクライマックスシリーズ進出のために長打を捨て、チーム打撃を貫き通したのだ。

 最終的にCSの夢は絶たれた。DeNAを優勝はおろかAクラスにすら導けなかった無念はある。だが、自身の目標である3割、40本、100打点をクリアすることができた。

 残り3試合。ブランコはこれまで通りチームプレーに徹し、タイトルを狙う。

「調子が上がってきている今なら二冠王も達成できると思う。バレンティンがいい成績を残していることもモチベーションを高めてくれるしね。コンディションをもっと整えていければ、来年は自分も彼のような成績を残せるんじゃないかな?」

 勝利に執念を燃やすチームで新たな打撃スタイルを身につけ、友の存在をモチベーションとして覚醒への手応えを掴む。

 ブランコの、最強スラッガーへの道が見えた。

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トニ・ブランコ
横浜DeNAベイスターズ
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