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なぜセレッソはJで急成長したのか?
成功し続ける名強化部長の秘密。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byAtsushi Hashimoto

posted2010/11/21 08:00

なぜセレッソはJで急成長したのか?成功し続ける名強化部長の秘密。<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

練習を見つめる梶野智強化部長。現役時代はセレッソ大阪やコンサドーレ札幌で、DFや守備的MFとして活躍した

即決で選手獲得! “目利き”を支える強大な決定権。

 セレッソには一定額の強化費があり、その枠内ならば梶野の独断で選手を獲得できる。その自由裁量枠を利用して獲得したのが、韓国のキム・ボギョンだ。

 韓国の代理人からの売り込みがあったとき、まだキム・ボギョンはほぼ無名の存在だった。だが、梶野は仙台カップでキム・ボギョンのプレーを観たことを覚えており、獲得を即決。「もし、ビデオを取り寄せて検討するなど判断を遅らせていたら、他チームに先に取られていたと思う」と梶野は語る。

 通常のクラブなら、強化部長が稟議書を提出して社長の判を得なければ選手は獲得できない。だが、セレッソの場合、裁量枠の中なら強化部長が即決できるのだ。こういう強化部長の決定権の大きさが、2つ目のポイントである。

 もちろんセレッソの躍進は、クルピ監督や下部組織の指導者など多くの人によって成し遂げられたものだが、梶野という強化部長の存在が大きかったことは間違いない。

 やはりサッカークラブを強くするには、監督の力だけでは不十分。クラブを長期的なビジョンで強化できる名GM(強化部長)が必要だ。

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