Jリーグ観察記BACK NUMBER
なぜセレッソはJで急成長したのか?
成功し続ける名強化部長の秘密。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2010/11/21 08:00
練習を見つめる梶野智強化部長。現役時代はセレッソ大阪やコンサドーレ札幌で、DFや守備的MFとして活躍した
選手とのコネクションを強化しブラジルルートを確立。
さて、前置きが長くなったが、なぜ梶野は外国人選手の獲得に成功しているのか?
ポイントは2つある。
1つ目は、国外、特にブラジルとの太いパイプだ。
かつてセレッソで、元ブラジル代表GKのジルマールがプレーしていた(1995年から約2年半)。ジルマールは引退後に代理人に転身すると、元代表という肩書きを最大限に生かして、瞬く間に代理人業界で成功を収めた。
このOBとのパイプを生かさない手はない。梶野はジルマールとの関係を強め、ブラジルから情報を手に入れるルートを確立した。エースのアドリアーノを格安のレンタル料で日本に連れてこられたのも、ジルマールのおかげである。他の代理人が扱うブラジル人選手を獲得するときも、必ずジルマールに相談して実力を精査してもらっている。だから“不良債権”をつかまされることがないのだ。
梶野は言う。
「僕はまったくすごくないんだけども、ジルマールは元ブラジル代表なので、ブラジルサッカー連盟に電話すればすぐに話ができるし、どこのクラブだろうが直接電話できる。そういうのが、僕が強化部長をやるうえですごく強みになっています」
インテルの元幹部とのディスカッションを運営の参考に。
また梶野はイタリアとのパイプもある。
藤井元社長からの紹介で、梶野はインテルの元幹部のテラーニョとのパイプを持っている。定期的にスカイプで話し合いをして意見交換をし、チーム運営の参考にしている。昨年、移籍ルール変更と大分の経営危機という混乱の中、いち早く家長昭博、清武弘嗣、上本大海、高橋大輔らを獲得できたのは、ヨーロッパ的な視点があったからだ。田邊伸明代理人は『スポーツナビ』のインタビューで「梶野さんは、ヨーロッパ型の移籍のサイクルやスキームというのを知識として持っているから、やるなと思いましたね」と語っている。
当然、こういうパイプを利用していれば、無駄な出費を抑えることができる。