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バルサBの選手で真価が問われる!?
グアルディオラの果敢な挑戦。 

text by

中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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photograph byMutsu Kawamori

posted2010/11/18 10:30

バルサBの選手で真価が問われる!?グアルディオラの果敢な挑戦。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

国王杯ベスト32、セウタ戦で先発を勝ち取ったノリート。前半2分に先制ゴールを決め、5-1の大勝に貢献した

勝利の条件は、バルサBの選手たちが戦力になること。

 11月10日に行なわれた国王杯4回戦第2戦(ベスト32)では、Bチームから多くの選手を引き上げて出場機会を与えた。ノリート(写真)、ティアゴ・アルカンタラ、バルトラらは十分にグアルディオラを満足させた。

 ノリートは右利きのドリブラーで、左サイドからのカットインはトップチームでも通用する。

 ティアゴのゲームメークは若かりし頃のシャビを彷彿とさせる。

 バルトラは、トップチームのピケという手本を見ながら、攻撃センスの優れたセンターバックへの道を歩んでいる。

 また、すでにトップデビューを果たしているジョナタン・ドスサントス、左利きのストライカー、ルベン・ロチーナもバルサの戦力として計算できるほどの実力を備えている。

クライフ、ファンハールの失敗から学んだグアルディオラ。

 PSVとの間で基本合意に達し、アフェライを獲得することが決定的となったが、カンテラの人材登用が成功しなければ今季のタイトル獲得は相当に難しいだろう。

 かつてバルサを率いた指揮官で、グアルディオラと同じように下部組織出身選手を重要視した監督を2人挙げることができる。ご存知“レジェンド”のヨハン・クライフと、現バイエルン監督のルイス・ファンハールだ。

 この2人は若手を起用し新しくチームの礎を築こうとした際、その途上で結果が出ず、チームを追われた。ただ、グアルディオラはチームを完全に若返らせる必要はない。ピークを過ぎたチームを立て直すために若手を抜擢したクライフとファンハールとは違い、今のバルサはまだ衰えの兆候は全く見せていない。

 クライフ、ファンハールの失敗を選手として間近で見ていたグアルディオラは、若手起用のタイミングはチームがピークを過ぎる前でなければならない、とずっと考えていたのかもしれない。

 タイトル獲得を強く求められる中で、主力選手のバックアップに若手を登用するというグアルディオラとバルサの勇敢な挑戦はこれからも続いていく。

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ジョゼップ・グアルディオラ

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