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スタメン定着&ベストイレブン!
内田篤人が語る「成長の証」。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2010/11/20 08:01
南アW杯前は、身体の線が細いイメージだった内田だが、身体の大きな選手が多いブンデスリーガで鍛えられ、別人のように当たり強くなっていた
香川真司は開幕前から飛ぶ鳥を落とす勢いで走り続けている。負傷で開幕から2試合に欠場した長谷部誠は、ブンデスリーガで3年戦い続けてきた貫禄を見せている。
矢野貴章がリーグ開幕後にフライブルクに加入するという難しい立場からスタートすることになったことを例外として考えれば、内田篤人は日本人選手の中では出遅れたと言ってもよいだろう。
チーム加入直後のキャンプでは熱を出して、休養を余儀なくされた。その影響からか開幕戦もベンチスタートとなり、9月の日本代表戦で左足の小指を負傷したために一時、戦列を離れることもあった。シャルケとドルトムントによるレヴィアー・ダービーで香川がドルトムントのヒーローとなった試合は、ピッチではなく観客席から目にしていた。
しかし、ここに来て自身の得意とする攻撃参加を連想させるような勢いを、内田は見せている。11月13日のブンデスリーガ第12節時点で、公式戦8試合連続スタメンを飾り、そのうちの7試合ではフル出場を果たしている。
「良い練習が出来ているのでね、ぜひ、見てもらいたい!」
コンスタントに出場機会を得ている理由をたずねると、内田は少し首をかしげた。
「なんでかなぁ……。まぁ、運動量は自分の中で意識しているんですよ。後半になっても、こっちの選手は頑張れる、無理が利くんですよ。だから、それには負けないように意識したいです。でも、なんで(最近の試合でコンスタントに出場できるの)かは、わからないです」
シーズン序盤でプレー時間をのばせなかった理由については、どうだろうか。
「怪我もあったけど、信頼も全然なかっただろうし。『こいつは試合に出して、大丈夫か』というのが(監督の心の中に)あったと思う。やっぱり、そこは練習を見て、『使ってみようかな』と思ってもらわないとダメですから。(大切なのは)練習じゃないですか? 真面目にやることじゃないですかね」
ドイツにやってきてから、内田が説き続けてきたのが、練習の重要性だった。ヨーロッパの中でも最もハードだと言われるマガト監督の課す練習を通じて、自分自身を鍛えたいと語っていた。
「試合に出るのももちろんなんだけど、練習がすごく良い。良い練習が出来ているのでね、ぜひ、見てもらいたいくらいです」
そんな内田のプレーに変化が見られたのは、スタメンに定着し始めた10月の半ばころからだろう。