リーガ・エスパニョーラの愉楽BACK NUMBER
バルサBの選手で真価が問われる!?
グアルディオラの果敢な挑戦。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/11/18 10:30
国王杯ベスト32、セウタ戦で先発を勝ち取ったノリート。前半2分に先制ゴールを決め、5-1の大勝に貢献した
やはり、ここぞという時の強さは図抜けていた。
リーガ第11節、2位のバルセロナは3位ビジャレアルと真っ向から勝負し、3-1でねじ伏せた。
ベストメンバーのビジャレアルは流れるようなパスワークと個々の突破力を融合させ、美しさと結果の両立を目指していた。だが、そんなビジャレアルをバルセロナは試合序盤から自陣に封じ込め、攻め立てた。攻撃と同様にビジャレアルは守備でも高い連動性を発揮して耐え忍んでいたが、バルサはそれを凌駕する連動性で試合を決めてしまった。
ここまでのバルセロナは第2節でエルクレスに敗れ、チャンピオンズリーグではルビン・カザン、コペンハーゲンと格下に引き分けていることで、スタートダッシュに成功したという印象は薄い。
その一方、モウリーニョ率いるレアル・マドリーがここ数年にないほどの派手なスタートを切ったことで、周囲の注目はバルサからレアルへと移りつつあった。11月末に行なわれるクラシコの結果次第で、流れは一気にレアルに傾くという論調も多く見られるようになっている。
選手のバックアップが少ないことがバルサの弱点となる?
しかし、ビジャレアル戦で見せたバルサのプレーは、彼らがレアルより一枚も二枚も上だということを証明した。チームの連動性という側面で見れば、レアルよりビジャレアルのほうが上だった。そのビジャレアルを圧倒したのだから、チームとしてのクオリティ、試合運びの巧みさは流石と言うほかない。
とはいえ、バルサと言えども“完璧”ではない。主力選手数人がいくつかの問題を抱えている。
司令塔のシャビは疲労によりアキレス腱が故障寸前で、メッシも第3節で右足に受けたタックルの影響か、本来の爆発的なドリブルを仕掛ける回数をセーブしているように見える。ビジャも、昨季序盤のイブラヒモビッチのようにゴールラッシュを披露しているわけではない。
選手層という問題もある。トップチーム登録メンバーはたったの19人しかいない。
かたやレアルは25人。各ポジションに各国代表クラスのバックアッパーを揃えている。
バルサは負傷者が続出すれば、一気に窮地に立たされる危険性がある。シーズンを通しての長丁場で、“息切れ”を起こしかねない。
だが、グアルディオラ監督はこのような事態を想定済みだ。彼の拠り所は世界に誇るカンテラ(育成組織)、バルセロナBである。