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モウリーニョの第2期は一味違う!
チェルシーの攻撃志向に膨らむ期待。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/08/12 10:31

モウリーニョの第2期は一味違う!チェルシーの攻撃志向に膨らむ期待。<Number Web> photograph by Getty Images

タイ・バンコクでのアジアツアー中の練習で指示を出すモウリーニョ。7月のアジアツアーではタイ、マレーシア、インドネシアの3カ国で試合を行なった。

 ジョゼ・モウリーニョは、「ハッピー・ワン」と名乗り、「大人になった」と言ってチェルシーに戻ってきた。しかしながら、堅守を信条とする名将が、攻撃的サッカーを要求するオーナーに対し、どこまで譲歩できるのかは疑問だった。そもそも、6年前の別れは、勝利を最優先する指揮官と、スタイルにこだわるオーナーとの確執が原因だったのだ。

 だが、7月初旬に始まったプレシーズンの様子を見る限り、チェルシーと復縁したモウリーニョは、譲歩どころか、自ら率先して攻撃的なチームを作ろうとしている。遠征先での戦いぶりには、「躍動感」という言葉が相応しい。

 新たなスタイルを予感させる一例を挙げれば、8月4日、アメリカでのACミラン戦(2-0)で、ビルドアップに絡んだエデン・アザールが、左サイドからドリブルでインサイドに切り込み、パスを受けたケビン・デブライネが、ダイレクトでゴール左下隅に決めた先制のシーンになる。その3日前には、インテル・ミラノも、チェルシーが繰り出す攻撃の波に飲まれている(2-0)。

 もちろん、プレシーズン中の対戦は、あくまでも調整試合だ。プレミアリーグより開幕が1週間遅いセリエAの両軍は、その分、チームの仕上がりも遅い。それにしても、攻撃の手を緩めないチェルシーの姿勢は、モウリーニョ第1期の姿勢とは一線を画すものだった。20代前半も多い主力選手たちが、新監督へのアピールに必死であることも事実だが、ハーフタイムを境に顔ぶれが大幅に入れ替わっても、集団としての姿勢は変わらなかった。

マドリーの経験が、モウリーニョを変えた。

 モウリーニョは、7月のアジア遠征中、国内紙向けのインタビューで、「チームには、今の私が何を求め、何を目指しているのかを事細かに説明した。今後、変わることのない基本方針を完璧に理解してもらうためだ」と語っている。第2期における「普遍の原理」には、攻めて勝つ姿勢も含まれているのだろう。

 前回就任時のチェルシーも、守備力だけではなかった。マシンの如くポイントを重ね、プレミア2連覇を達成した2005-'06シーズンにしても、20点台という失点の少なさが取沙汰される裏で、2位マンチェスター・Uと並ぶリーグ最高の得点数を上げていた。但し、後半に1点でもリードしていれば、自陣内で横パスを繰り返しながら逃げ切る戦法には、ファンも複雑な心境だった。当時のポゼッションは、敵を攻めるためではなく、敵に攻めさせないためのポゼッションだった。

 だが「勝利こそ全て」と言っていた指揮官の意識は、伝統の攻撃精神を持つレアル・マドリーでの指揮を経て、良い意味で和らいだようだ。基本システムも、レアル時代から継続の4-2-3-1。昨季チェルシーの定番システムでもあるが、マイボール時には4-1-2-3気味に変形し、ロストボール後には、高い位置で奪い返して反撃に転じる姿勢が強まっている。モウリーニョは、MF陣の充実ぶりに攻撃路線への自信を深めているはずだ。

【次ページ】 アザール、マタらが揃う充実の中盤。

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