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モウリーニョの第2期は一味違う!
チェルシーの攻撃志向に膨らむ期待。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/08/12 10:31

モウリーニョの第2期は一味違う!チェルシーの攻撃志向に膨らむ期待。<Number Web> photograph by Getty Images

タイ・バンコクでのアジアツアー中の練習で指示を出すモウリーニョ。7月のアジアツアーではタイ、マレーシア、インドネシアの3カ国で試合を行なった。

アザール、マタらが揃う充実の中盤。

 フアン・マタ、アザール、オスカルの「三銃士」には、この夏、ブレーメンでのレンタルから戻ったデブライネと、レバークーゼンから獲得したアンドレ・シュールレが、2列目要員として加わった。前者は軽快な連係プレー、後者は果敢なドリブル突破と、異なる特性を持つ新戦力だ。

 キーマンと目されるのは、プレミア1年目の9ゴール11アシスト以上が期待できるアザール。新監督から「臆せずに自己表現すればいい」と励まされ、同時に「才能の大きさを数字で示せ」と叱咤も受けた22歳は、ミラン戦までの5試合で、ゴールはPK2本だが無数のチャンスに絡んでいる。元々、旺盛だった守備面での貢献意欲も、守備の怠慢を許すはずのない指揮官の下で、更に際立っている。

 一方、その守備意識が高くないことから、高額での売却があり得ると思われたマタは、モウリーニョいわく「唯一の左利き」として買われている。前回のチェルシー時代から、ウィンガーには、カットインから利き足で相手ゴールを脅かす働きを求める指揮官にとって、右サイドで活用できる“レフティ”は、現状、マタしかいない。

 逆に、守備力を買われて、右サイド起用が増えるかに思われたラミレスは、ダブルボランチの一角から、中央突破を武器とすることになりそうだ。マルコ・ファンヒンケルとの「二気筒」は、両ミラノ勢との対戦でも馬力を発揮した。フィテッセから移籍したファンヒンケルは、20歳という若さもあって「これから」の選手と思われたが、タックルを仕掛けるタイミングの良さといい、的確なボール捌きといい、攻撃時には1枚になる中央の盾として即戦力になり得る。

CB起用の方針にもモウリーニョの意識の変化が。

 その背後では、ダビド・ルイスが注目される。モウリーニョは、軽卒なミスが致命傷となるリスクを嫌って、CBではなくボランチで起用するのではないかと思われた。ところが、当の指揮官は、コンフェデ杯後でルイスが休養中だったアジア遠征の段階で、「CB起用」を明言した。

 その理由は、「後方から組み立てる意識を持ち、自ら攻め上がる勇気と技術も持つ」というものだった。チームには、ジョン・テリーという、実は足下も確かなCBがいる。しかし、そのテリーが全盛期だった前回の在任時、攻撃面でCBに期待を寄せる指揮官の発言は記憶にない。ここにも、モウリーニョの意識の変化が見て取れる。

【次ページ】 いまだ補強が進まないFWではあるが……。

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