MLB東奔西走BACK NUMBER
現役続行か? MLBから永久追放か?
薬禍の主役、Aロッドの運命やいかに。
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![菊地慶剛](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/90/img_6bd0ff58f839765f0843fad4539dc3663842.jpg)
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/08/09 10:31
![現役続行か? MLBから永久追放か?薬禍の主役、Aロッドの運命やいかに。<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/a/700/img_1a252bf9b2b8e9d127f710e9bbfc9bf1405018.jpg)
ホワイトソックス戦前に、ファンにサインをするAロッド。子どもたちの信頼と期待を裏切る結果にならなければいいのだが……。
「150試合程度の出場停止」が落とし所と見る向きも。
また過激報道が続く中で違った視点から捉えるメディアも存在する。ESPNラジオのトーク番組で番組ホストの1人が、以下のように意見を述べているのだ。
「ロドリゲスがアピールの場で、211試合に至った経緯を確認し、どの行為がMLBの調査の妨害行為に当たるのかの説明を受ける権利はあるはずだ。自分は妻から『処分を受けた選手たちはみんな悪い人たちなの?』と聞かれたが、『一概に悪い人間だとはいえない。ただ悪い判断をしたのは間違いない』と答えた」
そしてそのホストは、最終的に150試合程度に処分が軽減されるのではとの予想を立てていた。
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ロドリゲスによるアピールに対し最終判断を下すのは仲裁者なのだが、並行してMLBが禁止薬物に対する処分を一層厳格なものにしていっているのも確かである。今回の処分決定を前に米国の主要メディアは先行報道していたのだが、MLBはロドリゲスが処分を受け入れなければ永久追放する準備をしていたと報じている。結局、ロドリゲスはMLBからの処分を受け入れなかったが、MLBはまだ彼を永久追放処分にしてはいない。だが、まだ予断は許さない状況だ。
Aロッドの永久追放処分は禁止薬物使用の絶大な抑止力に。
同じバイオジェネシス関連でいち早く65試合の出場停止処分を受けていたライアン・ブラウン選手への処分を見てもわかるように、現行の禁止薬物規定での処分を上回るような厳しい事例はすでに出ている。今シーズンから尿検査のみならずHGH(ヒト成長ホルモン)の使用を調査する血液検査を米国4大プロスポーツで真っ先に取り入れるなど、セリグ・コミッショナーは禁止薬物取り締まりに本腰を入れている。彼はその決意表明を2月にアリゾナで開かれた記者会見で大々的に行っていたのだ。
「プロスポーツはイメージが重要だ。そのためにも我々がファンから、禁止薬物にクリーンなリーグであるというイメージを持たれるようにしていかねばならない。そのためにも禁止薬物撲滅に向けて今後さらに厳しいルールを確立していくように関係各所と討議していく予定だ」
MLBからすれば今回の処分は、今後進めていくだろう禁止薬物撲滅運動の序章でしかないのだ。だからこそ、今後のファンや世論の反応、そしてロドリゲスのアピールの結果次第によっては、MLBがロドリゲスに対して永久追放処分のカードを切ったとしても何ら不思議ではないのだ。