サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
個々のアピールに終始した中国戦。
“予備試験”の通過者はいたのか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/07/22 11:40
代表初キャップながら1ゴール1アシストとインパクトを残した柿谷。手ごたえと歯がゆさ、彼にとってはどちらが大きい試合だったのだろうか。
中国戦で予備試験をパスした選手は見当たらない。
対戦相手のレベルが上がるほど、ゲームコントロールには緻密さが求められる。いま何をすべきかを、当たり前のように個々人の選手が判断できるようでないといけない。
時間帯やスコア、試合展開に応じたプレーの切り替えができない選手がひとりでもいると、対戦相手の標的になる。イメージを共有できないひとりをカバーするために、周囲の選手に負担がかかる。やがて、チーム全体のバランスが崩れてしまう。小さな綻びが命取りになるというのは、そういうことでもある。
わずか数日の練習で、チームとして機能しろとは言わない。ただ、コンビネーションがスムーズでなくとも、勝ち切るためにできることはある。
自分は何ができるのかを示した選手はいた。しかし、世界トップクラスとの対戦を想定すると、中国戦で予備試験をパスした者は見当たらない。個々のアピールとは、チームの勝利によって輝きを増すのである。