サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
個々のアピールに終始した中国戦。
“予備試験”の通過者はいたのか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/07/22 11:40
代表初キャップながら1ゴール1アシストとインパクトを残した柿谷。手ごたえと歯がゆさ、彼にとってはどちらが大きい試合だったのだろうか。
またか……という気持ちが募る。
それにしても、という思いが拭えない。
またか、という気持ちも募る。
中国に逆転負けを喫したわけではないのに、コンフェデ杯のイタリア戦が脳裏をよぎった。
中国戦が単発のテストマッチなら、若手のテストに成果があったという評価に着地してもいい。東アジアカップは違う。3試合総当たりで優勝を争う大会である。一度は3対1とリードしたゲームを引き分けに持ち込まれては、厳しい評価は避けられない。
勝点3を逃したことについて、試合後のアルベルト・ザッケローニ監督は暑さの影響をあげた。ケガの治療はもちろんFKやCKの合間にも、選手たちは絶えず水分を補給した。午後9時キックオフでもなお、スタジアムには熱気が居座っていた。
だが、気象条件はどちらのチームにも平等だ。蒸し暑さなら日本国内の方がよほど厳しい。だとすれば、勝ち切れなかった事実と本音で向き合う必要がある。
残り30分、2点リードの状態で、試合をコントロールできなかった日本。
国際経験の少ない選手が多かったというのは、同点に追いつかれた理由としてふさわしくない。急造チームでコンビネーションに欠けたという理由も、この試合展開では説得力を持たない。
残り30分で2点のリードを奪いながらも、チーム全体が徐々に疲弊している状況は、Jリーグでも日常的に起こり得るものだ。海外組がいないと解決できない、というほどのレベルでもない。
意図的にボールをキープして、時計の針を進める。自陣でボールを失うリスクを減らすために、はっきりとしたプレーを増やす。中長距離からシュートを打つことで、ブレイクタイムを作る。消耗を抑えながらゲームを進めていく手立ては、いくらでもある。年齢や経験に関係なく、ベンチから指示を待つまでもなく、実行に移さなければならないゲームコントロールだ。
日本はどうだったか。
リードを保つためのアクションを、誰ひとりとして何ひとつ起こしていない。一度は心の折れかけた中国にズルズルとペースを持っていかれ、相手の勢いに抗うことができなかった。