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ベルギーGPであからさまに差が出た!!
マクラーレンが持つ驚異的な戦術眼。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2010/09/03 10:30

ベルギーGPであからさまに差が出た!!マクラーレンが持つ驚異的な戦術眼。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

ハミルトンのマシンに装着されたソフトのスリックタイヤ(オプション)が溶けて煙を上げる

 アルデンヌの山間に作られたスパ-フランコルシャンには、2つの名物がある。

 ひとつは絶壁のようにそびえ立つ「オー・ルージュ」と呼ばれる上りながら左・右・左と切り返す超高速コーナー。

 もうひとつは猫の目のように変わる空模様。人々はこれをスパ・ウェザーと呼ぶ。

 そして、この2つを克服するためには優れたマシンとドライバーだけでなく、ハイレベルなチームの総合力が必要となる。

 というのも、スパは全長が7.004kmとF1グランプリが開催されるサーキットの中でもっとも長い。そのため、天候の変化にいかに対応するかが鍵となる。現在のように高度な無線システムがなく、気象情報をリアルタイムでコンピュータで確認できなかった90年代まではコース上を走るドライバーに判断を任せるしかなかったが、ハイテク技術を手にした現在はいかにチームがドライバーをサポートするかが重要なポイントとなる。そしてこのチームのサポートの良し悪しが、今年のベルギーGPのレース結果を大きく左右したと言っても過言ではない。

アロンソとハミルトンの、タイヤと走行時間の微妙な差。

 例えば、ウエットコンディションで幕が開けたベルギーGP初日。

 午後のフリー走行2回目では、雨天用のウエット(深溝)とインターミディエイト(浅溝)、そしてドライ路面用のスリック(ハード)、スリック(ソフト)と4種類のタイヤが1セッションの間に全部登場するほど目まぐるしくコンディションが変化した。さらにセッションの終盤には赤旗中断になるなど、プログラムを消化するだけでも難しい90分間となった。

 このセッションでトップタイムをマークしたフェラーリ(アロンソ)と、3番手に終わったマクラーレン(ハミルトン)のタイヤの使い方のほんの僅かな差には、じつに興味深いものがあった。

 アロンソはインターミディエイトで出て行って9周を走行。トップタイムをマークした後、路面が乾きだしてから、スリックのハードでロングランした後、ソフトに履き替えて3周を走行。合計25周を走行した。

 一方、ハミルトンはインターミディエイトで5周を走行。30分以上ガレージにとどまって、路面が乾き出すといきなりスリックのソフトを履いて周回を重ね、ウエットよりも多い8周を走行。合計周回数は13周にとどまった。

【次ページ】 フェラーリとマクラーレンの戦略は金曜日から違った。

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