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ベルギーGPであからさまに差が出た!!
マクラーレンが持つ驚異的な戦術眼。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/09/03 10:30
ハミルトンのマシンに装着されたソフトのスリックタイヤ(オプション)が溶けて煙を上げる
ベッテルの事故は、チーム戦術の未熟が生んだ必然。
今年のベルギーGPは予選でも赤旗が出る荒れた展開となったが、その赤旗中断後の残り時間が少ないことを考慮してマクラーレン勢はソフトタイヤを装着しすぐにタイムアタックに出て行ったのに対して、ベッテル陣営はなぜかしばらく待機。さらにコースインするときに装着していたタイヤはハードだったため、当然のごとく17番手のタイムしか出せず、予選Q1落ちの危機にまで直面する事態となった。
「一番最後にタイムアタックに出て、しかもそのとき雨が落ちてきたため、かなり難しい状況となった。幸いインターミディエイトで安全圏に入れたけど、ああいうコンディションではどうなるかわからないから、もう少し考えないといけない」(ベッテル)
レースでバトン(メルセデス)に追突したのはベッテルのドライバーズエラーだが、そのベッテルに5番手からスタートさせるプレッシャーを背負わせ、レースでミスを誘発させたのは間違いなくチームの責任である。
路面状況が変化したGPで勝つのはいつもマクラーレン!
今シーズン、レース中に雨が降ったグランプリはオーストラリア、中国、ベルギーと3回あった。路面コンディションが変化したその3レースで勝利したのは、いずれもマクラーレン。それは、ドライコンディションでは見えなかったチームの総合力の差が、濡れた路面で浮き彫りとなるからではないだろうか。スパ-フランコルシャンを初めて制したハミルトンは今回の勝因を次のように語った。
「こんな難しいコンディションの中で優勝できたのはチームのおかげ。彼らの努力なくして、今日の勝利はなかったよ!!」