オリンピックへの道BACK NUMBER
あの“マリリン”が新チームを結成!
日本カーリング界が抱く期待と不安。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2010/08/31 10:30
「チームの輪をつくるところからスタートした方が、人間としても成長できるの ではと思った」とロコ・ソラーレ発足記者会見で語った本橋麻里。新チームでレ ベルの高い戦いを見せられるか
ソチ五輪への出場権争いはすでに始まっているのだ!!
国内での競争が激しくなると予想される一方で、不安な点は、ソチ五輪の出場権の獲得にある。
カーリングはチームワークの成熟が鍵を握る競技である。チーム青森も、メンバーの入れ替えで一時的に戦力低下の可能性があるし、他チームにしても成熟するには時間がかかるはずだ。競争が激しくなるといっても、レベルの下がった争いでは意味が無い。
オリンピックの出場権をかけた戦いは、今シーズンからスタートするのだ。
カーリングは、毎年開催される世界選手権におけるオリンピック前3年間のトータルポイントで上位10カ国がオリンピックに出場できる。まず世界選手権への出場権を獲得し、その上で毎シーズン、世界選手権で好成績をあげることが必要になってくるのである。ようするに、今年からすでに待ったなしの状況なのである。バンクーバー五輪にしても、日本は10位、つまり出場国中最下位での出場獲得だったのだ。それを考えても、チーム力の引き上げには一刻の猶予も無いのである。
五輪出場権を失うとカーリング熱が一気に冷める不安も。
オリンピックへの出場を逃せば、せっかく広がった裾野も元に戻りかねない。もともとスピードスケートの強豪として知られ、これまでに橋本聖子、岡崎朋美らを育ててきた富士急は、新たにカーリングの支援に乗り出す背景を、「私たちは、富士山の周辺で氷とともに育ってきた企業です。氷上スポーツを楽しむ人を増やすのは企業責任です」と説明する。もちろんトリノ五輪から始まったカーリングへの世間の関心の高まりも創部の背景にはあるだろう。である以上、オリンピックに出場し続けること、その上で好成績をあげることは富士急にとっても必須の条件なはずだ。
不安が杞憂に終わり、さらなる発展の第一歩であったと思える未来を期待したい。