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あの“マリリン”が新チームを結成!
日本カーリング界が抱く期待と不安。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2010/08/31 10:30
「チームの輪をつくるところからスタートした方が、人間としても成長できるの ではと思った」とロコ・ソラーレ発足記者会見で語った本橋麻里。新チームでレ ベルの高い戦いを見せられるか
バンクーバー五輪が終わって半年。カーリング界では新たな動きが相次いだ。
8月9日、富士急がカーリング部「チーム・フジヤマ」の創設を発表。
翌週の16日には、チーム青森でトリノ、バンクーバー五輪に出場した本橋麻里が記者会見を開き、新チーム「ロコ・ソラーレ」を結成すると語ったのだ。
「チーム・フジヤマ」は、'92年アルベールビル五輪で日本代表監督を務め、五輪中継の解説で広く知られることになった小林宏氏がゼネラルマネージャー兼ヘッドコーチに就任。メンバーには、昨年の五輪代表決定戦でチーム青森に敗れたあと解散したチーム長野の園部淳子から中学3年生の小穴桃里(こあなとうり)まで、個性豊かなメンバーがそろった。
一方、本橋がキャプテンを務める「ロコ・ソラーレ」は、バンクーバー五輪で8位と無念の結果に終わった悔しさから、本橋が「自身を成長させるためにはどうすればいいか」を考えた末に生まれたチーム。カーリングの聖地とも言える北海道北見市常呂町出身者で固め、同町を拠点に置く。
さらに、昨年五輪代表決定戦に出場するなどして活躍した常呂高校のメンバーが、札幌国際大学進学後も同大の支援を受けて活動を継続しているというし、「チーム青森」も目黒、本橋は抜けたが、青田しのぶが加わり、すでに合宿などを行い猛練習に励んでいる。
チームが増えることは競技の発展に寄与する好材料。
一気に多彩なチームがそろうことになったカーリングだが、実は期待と不安、両面が存在する。
どの競技でもそうだが、トップの強化のためには、地盤の底上げが大切になる。競技人口を増やし、競技を続けられる環境が整い、切磋琢磨することで競技レベルが向上する。それがトップの強化にもつながるということだ。
これまで、日本のカーリング界は、本来は競技寿命の長い競技であったにもかかわらず、経済的な事情といった問題から、とくに女子の場合、若くして退かざるを得ないケースが多かった。それからすると、チーム長野の解散によって第一線での競技生活が危ぶまれながら新たな場所を見出すことができた園部が象徴するように、続けられる選択肢が増えたことは競技の将来を考えても、明るい材料と言える。