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怪我人続出とイチローの奇妙な打順。
ヤンキースは、今どうなっているのか?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/04/14 08:01
主力が次々と怪我で離脱するなか、複雑な起用法でプレーすることになっているイチロー。
ヤンキースといえば、1995年以来、2008年をのぞいて、ずっとポストシーズンに駒を進めている。
決して“無風区”で勝ち抜いているわけでない。打倒ヤンキースを目指して、レッドソックスとレイズが独自の強化方針で力をつけ、昨季はオリオールズがブレイクした。遅れてはなるまいと、今度はブルージェイズが大型補強で優勝戦線に乗り込んできた。
2013年はすべてのチームが5割を超えるのではないか。そうしたことが現実に起こりえるかもしれない――。開幕前には、そんなことまで考えたほどだ。
しかし、開幕して10試合ほどの段階だがヤンキースは現実的に、4月の間は5割をキープできれば「御の字」ではないか。そう思わざるを得なくなった。
その理由は故障。
ジーター、テシェイラ、アレックス・ロドリゲス、グランダーソンと4人の野手が故障で戦線離脱しているのがなんとも痛いのだ。
離脱した主力打者の4人は、昨季に合計100本の本塁打を量産。
戦列を離れている4人だが、昨季のホームランの数を見ると、グランダーソンが43本、テシェイラが24本、Aロッドが18本、ジーターが15本となる。この4人でちょうど100本の本塁打を量産していたのだ。
この他にも捕手のマーティン、外野のスウィッシャーもチームを離れてしまい、新たに三塁のユーキリス、外野のウェルズ(ともに34歳)などを獲得したが、年齢的なことを考えるとシーズンを通してどれだけ活躍できるか不安な面もある。アメリカでは選手のピークは25歳から29歳の間と考えられているからだ。
打順を組むにも駒が不足している感じで、レッドソックスとの開幕シリーズ、つづくタイガースとのシリーズはともに1勝2敗と負け越しが続いた。特にタイガースに対しては力負けしている印象が拭えなかった。