藤川の真っ直ぐの可能性が見えた、あの一球。

　実は、打たれたブレーブス戦でも藤川は自身の真っ直ぐの可能性を披露している。

　ノーアウト一、二塁で迎えた左のフアン・フランシスコ選手に対し、0－2から捕手は真ん中高め付近の釣り球を要求。藤川が投げた真っ直ぐは外に流れながらフランシスコの肩の上を通過するような球だったにも関わらず、バットを振らせ空振り三振を奪った。

　それだけではない。続くジェラルド・レアード選手の時に、2－1から捕手は外角低めの真っ直ぐを求めたようだが、藤川の投げた胸元付近のボール球でやはり空振りを奪った。その時のレアードの悔しそうな顔は印象に残っている。

藤川は上原浩治と同じ、高めのストレートが生きる投手。

　昨シーズンのことだが、当時エンゼルスに在籍していた高橋尚成投手と今後メジャーに挑戦しそうな日本人選手の話で盛り上がったことがある。その際に藤川の話題が出て、彼は以下のように解説してくれた。

「あくまで自分の印象ですが、メジャーの打者は比較的高めが弱い。上原だってどんどん高めを使って空振りやファウルを奪っているでしょ。藤川のあの真っ直ぐも僕は通用するんじゃないかと思ってます」

　奇しくも高橋は今シーズン藤川の同僚となり、近くで彼の投球を見守っている。果たして高橋の考えは変わったのかどうか今後、確認してみたいと思っている。

　高橋が説明してくれているように、上原浩治投手がメジャーで成功している理由の1つとして、高めの球を有効に使った投球術があるのは確かであり、説得力のある言葉だと感じている。

　高橋だけでなく、今年のキャンプに視察に訪れていた、昨年まで日本ハムの投手コーチを務め、メジャーでもプレーしたことがある吉井理人氏も、別の角度から藤川がメジャーで成功する上での真っ直ぐの重要性を指摘していた。

「メジャーのスタイルに合わせて無理にボールを動かそうとする前に、まずは自分本来の真っ直ぐを投げることが一番大切だと思う。それがまずできないと他の球種も生きてくることはない」

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