チームも気付いた、藤川が貫き通すべき投球スタイル。

　ブレーブス戦だけでなく、4月4日のパイレーツ戦でも左のギャレット・ジョーンズ選手から空振り三振を奪ったのも、釣り球として要求された高めの真っ直ぐだった。この藤川が奪った3つの空振りは92～94マイルとメジャーでは平均的な球速。それでもメジャーの打者がボール球に手を出しているということでもわかるように、清原和博氏がかつて“火の玉”と形容した藤川の真っ直ぐはメジャーでもかなり効果的だと判断していいのではないだろうか。

　日本の評論家の中には、藤川の真っ直ぐがかつてのキレを失ったと発言している人もいる。だからといって日本以上に強打者達が揃ったメジャーに挑戦している現在、自分本来の投球をすることなくこの世界で成功できるはずもない。

　そして……クローザーとして最初の登板となった4月9日のブルワーズ戦で、捕手のリードに変化が出てきた。

　この試合で奪った2三振は高めの真っ直ぐによるものではないが、最後の打者を打ち取る際は一貫して真っ直ぐを投げ続け、捕手のミットはずっと打者の真ん中胸元付近に固定されたままだった。捕手は藤川に高めの真っ直ぐを要求し続け、2つの空振りを奪った後、見事にセカンドフライに打ち取ったのだ。

　藤川の高めの真っ直ぐが、カブスの中でも確実に彼の最大の持ち球であることが認識され始めているのは間違いない――。

　今シーズン限りでの引退を表明したメジャー史上最強のクローザー、マリアノ・リベラ投手はカットボールで攻め続ける投球スタイルを最後まで貫き通している。

　藤川が自らの持ち味である高めの真っ直ぐでメジャーを席巻する日を待ちたい。