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初登板好投の内海、マエケンに続け!
WBC組は“後遺症”を克服できるか?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/04/02 10:30
2011、2012年と2年連続で最多勝を獲得している内海。WBCでは3月10日のオランダ戦で4失点を喫するなど本来の力を発揮できなかったが、開幕3戦目の広島戦では8回1失点と好投した。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の熱狂から10余日が経ち、プロ野球が開幕した。
準決勝で敗れ、侍ジャパンの3連覇の夢はならなかったが、日本に戻ってきた代表選手たちには、休む間もなく大きな仕事が残されている。
それは、代表に参加したことが決してマイナスではなかったと、身をもって証明することである。
「一番大切なのは、選手たちを万全の体調でチームに帰すことだと思っています」
大会前にこう語っていたのは、今回はブルペンを担当した与田剛コーチだった。
3連覇という十字架を背負って臨んだ今回の大会。もちろん勝つことは、大きな目標であり、チームに課せられた使命でもあった。
しかし、同時にもう一つ、大切なことは与田コーチが看破したように、参加した選手にとってWBCという大会を決してマイナスにしてしまわないことでもあったはずだ。
WBCに参加した投手が強いられた数々の負担の大きさ。
WBCに参加することは、ペナントレースを見据えたときには、基本的にはマイナス要素がかなりある。
特に投手の場合は早め、早めに肩を作ることでの調整の難しさや、日本の統一球からメジャー球に代わり、そして再び日本の統一球に戻るボールの問題やマウンドの違いなどの感覚的な部分がある。また所属チームでは先発を役割とする投手が、代表チームではリリーフに回ったり、たとえ先発でも長いイニングを投げずに交代することも多いという役割の違いも出てくる。
WBCで、通常とはまったく異なる環境での野球を強いられてきた肉体的、精神的なハンデは相当大きかったのは間違いない事実なのである。
それでもそういうハンデを乗り越えて、チームに戻るときには、万全に近い(万全というのはほぼムリだと思うので……)コンディションで帰っていって欲しい。
「もちろん選手自身のことを思えば当たり前のことです。ただ、それだけではなくWBCという大会を今後も続けていくという前提で考えたら、大会に参加したらダメになったという選手を出してはならないんです。だから選手を万全の状態でチームにお返しする。実はそのことこそ一番大切だと思う」
与田コーチの言葉は本質を突いている。