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今年の中畑DeNAは何が違うのか!?
開幕3連戦に見た「勝」へのこだわり。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/04/01 11:45
開幕第2戦、最後を締めた山口俊をベンチ前で迎える中畑監督。その右に並ぶは開幕ダッシュの立役者たる、ブランコ、ソーサ、三浦が並ぶ。三浦は投手として21年間連続の勝ち星を上げ、球界4位となる記録を刻んだ。
5年連続でセ・リーグの最下位。低迷するDeNAが、今季の開幕カードで昨季2位の中日を相手に2勝1敗と勝ち越しできたのは、決して偶然が生んだ産物ではなかった。
チームスローガンである「勝」――。
プレースタイルや采配。退路を断ち、背水の覚悟で挑む今季は、開幕戦からその姿勢がはっきりと表れていた。
打線から言えば、DeNAが掲げる「1点を確実に取る」という攻撃スタイルが機能した。
1番打者に昨季リードオフマンを務めた荒波翔ではなく、オープン戦から思い切りのいい打撃の石川雄洋を置き続けたことが、3月29日の開幕戦でいきなり実を結ぶ。
1回表の第1打席の初球をセンター前へ。チームの緊張感が高まっているこの状況での石川の打撃を、中畑清監督はこう評価した。
「これ以上にない結果だね! 開幕戦は気持ちが昂り過ぎて空回りすることが多いんだけど、あれでチーム全体に『いけそうだ』という雰囲気が出てきたよね」
「落ちるボールを放っておけばいい」はずのブランコが見せた一打。
さらに2死二塁と先制の場面。中日から移籍した主砲のブランコが、吉見一起の外角のフォークをうまく捉えタイムリーを放つ。開幕前に古巣の指揮官である高木守道監督から、「落ちるボールを放っておけばいい」などと弱点を暴露され続けていれば、多少なりとも力は入るはずだが、ブランコは冷静だった。
「チームメートから敵の立場に変われば攻め方も変わるしね。バッテリーの配球は結構、研究したよ。フォークは狙っていたわけではないけど、なんとかランナーを還そうとだけ思って打席に立った。甘いボールではなかったけど、よく打てたと思う」
1-2のビハインドで迎えた8回もそうだ。
この回、先頭の石川がしぶとく三塁線を破る二塁打で出塁すると、2番の内村賢介が四球を選び、モーガンの送りバントと全力疾走が相手のエラーを誘い同点。なおも無死二、三塁のチャンスで、再びブランコが勝ち越し2点タイムリーと魅せた。
その場面を彼は、こう説明する。