MLB東奔西走BACK NUMBER
故障と打撃不振でピンチの中島裕之。
飽くなき探求心で今は“熟成”のとき。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/03/31 08:02
3月26日、インディアンスとのオープン戦でヒットを放つも、走塁中に左太もも裏を痛め、途中交代となった中島裕之選手。
「やっているだけで楽しいし、選手として新しい発見が多い」
そもそも中島のメジャー挑戦には、野球選手としての果てない追求心が根底にある。
「(キャンプでは)自分の調整と同時に、もっと上手くなるために、こっちの練習方法だったり身体の使い方だったりを教えてもらいながらやってます。球の投げ方でも日本人が投げるのとは球筋が違ったりする角度があるし、打つのに対しても練習のやり方によってスイングの軌道とかが色々あるみたいなんです。
これまでやってきたことは今まで通りできるから、教えてもらったことが(自分の)プラスになると思ってやってます。こっちの方が新しい発見が多いし、自分に吸収できそうなことが多い。日本にいたら(今感じていることの)半分ぐらいになっているんじゃないですか。(日本に残っていたら)いつも見てきたようなことだし、いつもやっているような練習なんで。
こっちでは身体のサイズは様々だし、小さくてもごっついし、飛ばす選手もいる。本当にいろんな選手がいる。一緒にやっているだけで楽しいし、野球選手として新しい発見が多いかもしれない」
中島の言葉を借りれば、彼はこのキャンプ中に様々な発見を続けてきた。それを試行錯誤しながら、自分のものとして吸収するのに1カ月半という期間ではあまりに短かったと考えることはできないだろうか。
高校時代から続く、人間の身体の動きを分析しようとする探求心。
紹介した彼のコメントにもあるように、今回、中島の話を聞いていて非常に印象的だったのが、高校時代から今も変わらずに続いている人間の身体の動きを分析しようとする探求心だ。とにかく野球選手としてより質の高い動きを求め続けてきた結果が、現在の中島を形づくっている。
「高校時代から野球だけでなく何でも研究というか、どうやればいいのかを考えることに凄く興味があった。普段でも人の歩いているのも見ていたし、動きだけでなく身体のつくりも見ていた。例えば、足の速い選手は身体をどんな風に使っているのか観察してみたり、またその動きができるから、そこ(動く部分の筋肉)が発達するのだとかを納得してました」