野球クロスロードBACK NUMBER
巨人の盗塁&バントを封じろ――。
仁志敏久が教える本命攻略の糸口。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/03/28 10:30
2011年は28盗塁、30犠打、2012年は14盗塁、26犠打を記録している藤村大介も、巨人の「足」と「バント」を象徴する選手の一人。今季の目標には「40盗塁、40犠打」を掲げている。
古田敦也が現役時代に要求した“バント封じ”の配球。
球威のあるストレートでファウルを誘う。それも間違った作戦ではない。しかし、投手全員が楽天の田中将大のような力のあるストレートを投げられるわけではない。
古田敦也は現役時代、バントに対してはほとんどの場面で投手にスライダーを要求していたという。当然、ストレートよりは変化球のほうがタイミングを合わせづらいし、バスターに切り替えたとしても内野ゴロでゲッツーを取れる可能性も高くなる。
バントにおいても緩急を使う。「球界ナンバーワン」と呼ばれた捕手のリスクマネジメントも戦術の大きな参考となるだろう。
さらに、ファーストとサードのチャージ、つまり、バントする打者のバットの角度からボールが転がる位置を的確に見定め、ホームにダッシュするプレーを強化すれば、チャンスの芽を摘むことができる。
正確なチャージを実践するために肝心なのは普段からの準備。
仁志氏は、これについても言及していた。
「選手は誰でもチャージに対する意識はあるんですよ。肝心なのは準備であって、普段から練習していないと、ゲーム終盤にチャージを強めようと思っても無理なんです。それをチームとして選手に浸透させていないから、大事な場面で簡単にバントを許してしまうわけで。結果としてバントを決められたとしても、そういったことを常に心がけながらプレーしていれば、最終的に失点率は下がってくると思いますよ」
変化球を織り交ぜるなどして簡単にバントをさせない。強く、正確なチャージで進塁を防ぐ。当たり前のことではあるが、このふたつが巨人のバントを防ぐ重要なカギとなる。
「『1』を争うことを意識できるかどうか」
そう、仁志氏は言っていた。
1つのプレーが1点を争うことになるし、1勝も争うことにもなる。1をひとつずつ制していくことで、順位も1ずつ上がる。
絶対的な優勝候補である巨人と「1」を争うためには、まずバントと盗塁を簡単に許してはいけない。
それを徹底できたチームが、最終的に巨人の牙城を崩すことになるかもしれない。