野球クロスロードBACK NUMBER
巨人の盗塁&バントを封じろ――。
仁志敏久が教える本命攻略の糸口。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/03/28 10:30
2011年は28盗塁、30犠打、2012年は14盗塁、26犠打を記録している藤村大介も、巨人の「足」と「バント」を象徴する選手の一人。今季の目標には「40盗塁、40犠打」を掲げている。
WBCで主力メンバー7人(阿部慎之助、長野久義、坂本勇人、杉内俊哉、内海哲也、山口鉄也、澤村拓一)を欠きながら、オープン戦を首位で終えた。
シーズンに入れば、阿部、長野、坂本を中心とする打線はますます安定する。投手陣も、杉内、内海、ホールトンの先発三本柱に加え、澤村、宮國椋丞、ドラフト1位ルーキーの菅野智之がオープン戦で見せた投球を続けられれば盤石だろう。
解説者、評論家のほとんどが「優勝候補の大本命」に挙げている。それほど、今年の巨人には隙が見当たらない。
とはいえ視点を変えれば、巨人攻略の糸口も見えてくる。
ポイントは、盗塁とバントだ。
昨季の2ケタ盗塁記録者は6人と“誰でも走れる”のが巨人の強み。
巨人は昨季、開幕ダッシュに失敗したものの、非公開練習で一から走塁面を鍛え上げたことによって機動力が円滑に発揮できるようになり、浮上のきっかけを掴んだ。
昨季のチーム盗塁数はリーグ1位の102。さらに厄介なのは、走れる選手が多いこと。チームトップである長野久義の20をはじめ、2ケタ盗塁を記録した選手は実に6人もいた。
プロ野球解説者であり、『プロ野球のセオリー』の著者(統計学者・鳥越規央氏との共著)でもある仁志敏久氏はかつて、この脅威についてこう語っていた。
「盗塁数が100を超えているチームというのは、ある程度、選手にスタートの決定権を与えていることになりますね。ひとりだけで盗塁を稼いでいるだけなら、その選手だけ警戒していれば済みますけど、走れる選手が多いとチーム自体の戦術として機能する。当然のように相手は警戒するでしょうね」
未然に盗塁を防ぐためには、牽制球を効果的に使いランナーのリードを最小限に留めさせ、クイックモーションで素早く投げることが求められてくる。
それと同じように、捕手の役割も重要な要素となる。
ボールを捕ってから投げるまでの速さが「球界一」と称される中日の谷繁元信は、送球についてこのように話していた。