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“優勝候補”も中身はスカスカだった!
アルゼンチンが馬脚をあらわした大敗。
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byFIFA via Getty Images
posted2010/07/04 11:20
掛け値なしに強かった前回大会のアルゼンチン。
とはいえ、今大会のアルゼンチンに関して言えば、本当に優勝候補と呼ぶにふさわしい力を見せていたのかは疑わしい。
例えば、前回大会のアルゼンチンは掛け値なしに強かった。
リケルメというクラシカルなプレーメイカーによって操られる攻撃は、対戦相手にとっては脅威であり、観客にとっては極上の娯楽だった。いわば、「リケルメの能力を最大限に生かす」という戦術の下、他の10人が攻守にわたり、徹底して自分たちの任務を遂行した。爆発力を秘めた攻撃は、決して「大味」とか、「雑」という言葉と表裏一体ではなかった。
タレント揃いに見えても、結局はメッシ頼みだった。
しかし、今大会は違う。
大会随一のスター、メッシを擁し、これまでの4試合で10ゴールを叩き出した。勝ち上がりは派手に見えたが、それゆえ実力以上の過大評価を受けてしまった感は否めない。
一見タレントが揃っているようでいて、結局のところ、大会を通じて攻撃はメッシ頼みだった。他ではテベスのドリブル突破からチャンスを作れる程度で、どこからでもチャンスが作れるという雰囲気はなし。それでいて、ディフェンスのリスク管理はかなり甘く、力の劣る相手なら個人能力で封じ切れたが、同等以上の相手となると、その甘さが致命的となった。
外見は優勝候補も、中身はスカスカ。マラドーナが監督ということも“なんとなく”強そうな印象を与えたが、手堅さでは世界に鳴るドイツを相手に、見事なまでに馬脚をあらわした。
0対4。衝撃の大敗も、今大会のアルゼンチンの歩みを冷静に振り返れば、十分にありうるものだったと言わざるをえない。