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スイス戦の敗北から学んだスペイン。
デルボスケ監督のパラグアイ対策。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byGetty Images
posted2010/07/02 11:00
パラグアイが自陣で守備を固めればジョレンテの出番。
ポルトガル戦でも交代直後にセルヒオ・ラモスのクロスに絶妙のタイミングで飛び込んでいる。さらにカルバーリョ、アウベスら屈強なDFを背にしてもきっちりとボールをコントロールできた“強さ”は、敵を押し込みペナルティエリア付近でのスペースが限られた攻撃において重要な武器となる。
ポルトガル戦の決勝点は、ジョレンテのポストプレーから生まれた。彼がゴール前で敵を背負いながら正確なパスを仲間に落とすだけで、敵の視野は背後へと走り出すスペイン選手を捉えにくくなる。パラグアイが守備を固めればスペインの敵陣内での横の揺さぶりが増えることになる。そこに縦の揺さぶりが加わることでスペインの攻撃の幅はさらに広がるだろう。
敵が完全に引いた場面ではセスク、ペドロらの登場も!?
デルボスケ監督は前線の選手の組み合わせを頻繁に変えてここまで戦ってきている。その一方で、シャビ、シャビ・アロンソ、ブスケッツ、最終ラインの4人は不動だ。しかし、引き切ったパラグアイに対してなかなか均衡を崩せない場合にはここにも手を加えることになるだろう。
ポルトガル戦のように高い位置から勝負を挑んでくるチームに対してはブスケッツとシャビ・アロンソのバランス重視のダブルボランチは効果絶大だ。
しかし、敵が引き切ってしまっている時にこの2人の組み合わせを続けると、自然とシャビのポジショニングが高くなりすぎ、シャビが敵を背負ってボールを受ける機会が多くなる。前を向きボールを捌いていくことでチーム全体を動かしていくシャビが前線に吸収されては、チーム全体のパス回しのリズムも単調になってしまう。
それならばブスケッツとシャビ・アロンソのいずれかに代えてセスク、ペドロ、マタ、シルバらを入れることでシャビの持ち味を殺さずに攻撃オプションを増やすことができる。