プレミアリーグの時間BACK NUMBER
17年目のベンゲルに退任要求8割!
3月に賭けるアーセナルの命運。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byTomoki Momozono
posted2013/02/26 12:15
バイエルンとの試合後、「もっと自信を持って戦わなくては」と語ったウィルシャー。アカデミーから生え抜きの若き10番は、チームを復活に導くことができるのか。
守備の乱れは「助監督に仕事をさせていない」せい?
ロブソンは、自信を落としてバイエルン戦を迎える原因となった、2月16日のFAカップ第5ラウンド敗退に関してもベンゲルを非難している。「一発勝負のカップ戦で大幅な戦力温存は禁物」というのだ。
しかし、ブラックバーン(2部)戦での先発メンバーは、立派な一軍メンバー。ウィルシャーら主力中の主力のベンチスタートは、中二日しかないバイエルン戦を睨んで当然だった。相手GKのセーブ連発がなければ、順当勝ちを収めているはずでもあった。
そして、「スティーブ・ボールドに仕事をさせていない」というロブソンの指摘。
アーセナルが堅守を覗わせた今季序盤には、助監督となった元CBの貢献が騒がれることはあっても今回のような意見は聞かれなかった。その後の守備の乱れは、 元々守備が苦手な集団が、 芳しくない戦績に伴って自信を欠き始め、やるべき事ができなくなってしまったためだろう。
しかしその最中でも、ボールドの助言が利いている節はある。
バイエルン戦でCKからミュラーにリバウンドを押し込まれた2失点目を例にとれば、ゾーンで守っていた場面で、唯一マンツーマンでついていたアルテタが得点者を逃がしたこと以上に、放り込まれたクロスを誰もクリアしようとせず、かつファンブイテンにフリーランからヘディングを許したことが問題だった。ハーフタイム中に指示を受けたはずの後半、相手CKでは、ペア・メルテザッカーがファンブイテンの進路をきちんと塞いでいた。
リーグ4位争いのライバルとの直接対決が続く重要な2連戦。
非難されているほど「問題だらけ」とは言えないアーセナルにとって、各選手が任務を遂行する上でも欠かせない自信の回復は、ミュンヘンでの第2レグに先立つ国内での2試合が鍵を握る。リーグ4位争いのライバル、4位のトッテナム(3月3日)と6位のエバートン(3月9日)との直接対決が続くからだ。
トッテナムは、チーム得点王のギャレス・ベイル頼みの感が否めない。左ウインガーがネットを揺らせなければ、リーズ(2部)に敗れたFAカップ戦のような結果もあり得る。エバートンでは、前回対決で同点に持ち込まれた、ターゲットマンのマルアヌ・フェライニに同じ事が言える。
アーセナルにとっては、リーグ戦では左SBを本職のナチョ・モンレアルに任せられることから、最終ラインの要であるベルメーレンを本来の中央で起用できる安心感がある。1月に加入したスペイン代表DFのモンレアルは、母国のマラガでCLのピッチに立った経緯から、今季の欧州戦では起用できないが、国内リーグでは、新戦力として2連続零封勝利にスタメンとして貢献している。