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入団か否かで試される西武の度量。
“房総のダルビッシュ”は消えるのか?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/02/15 10:30
千葉国際高等学校では1年夏から活躍していた相内。刑事処分が決まり次第、一刻も早く球団と協力しながら更生に励んで欲しい。184cm、73kg。
何事もなくプロになっていたら、相内は潰れていた?
相内をプロへ送り出すにあたって、関係者は、彼の気紛れな性格をこう心配していたものだ。
「大化けするか、逃げ出しちゃうか。そのどっちかかなと思うんですよ」
おそらく何もなく入団していたら、今にして思えば、後者の可能性は限りなく高かったのではないか。
西武は今、相内との入団手続きを凍結している。
西武は、相内が過ちを犯したことで、彼の手綱を掌中に収めることができた。手放すのも自由だが、それをうまく使いこなせれば、彼を「大化け」させることができるかもしれない。
怠慢なダルビッシュを目覚めさせたヒルマン監督の温情。
今や日本人最高レベルの投手といっていいだろう、ダルビッシュにとっての最大の幸運。それは、入団1年目のキャンプ中に喫煙騒動を起こしたとき「日本ハムにいた」ということだったように思う。
ダルビッシュが当時の監督ヒルマンに謝罪したときの様子を、元通訳の岩本賢一がこう振り返っている。
「名護の室内練習場でした。ヒルマン監督は、報道陣もいっぱいいたので、練習風景を見ている振りをしながら話を聞けと言いました。そこで、『終わってしまったことは仕方ない、これからどう取り組むかだ。それで周りの見る目も変わる』と伝えました。『これで見捨てたりはしない』と、監督はさりげなく話したんです。そのときのことはダルビッシュもきっと覚えていると思いますよ」
この「見捨てたりはしない」という言葉は、ダルビッシュの胸にどう響いたのか。その答えが、その後のダルビッシュの姿ではなかったか。
ヒルマンは、日本ハムは、手綱を手放さず、それをダルビッシュの方向修正に使ったわけだ。