南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
退場者続出の南アにおけるジャッジ。
岡田ジャパンの意外な弱点がそこに!
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2010/06/22 11:15
オランダが巧妙に仕掛けてきていた主審へのアピール。
ひとつだけはっきりしているのは、ボールを前へ運ぼうとするスタンコビッチのプレーが、ドイツを10人へ追い込んだということである。彼がバックパスや横パスをしていたら、セルビアは前半終了を待たずして数的優位に立てなかっただろう。
ひるがえって日本である。オランダ戦で気になるシーンがあった。
日本の選手がスローインをする。近くにいたオランダの選手が、一斉に手をあげる。ファウルスローだ、という主審へのアピールだった。
振り返ればイングランドとコートジボワールとのテストマッチでも、日本はファウルスローを取られている。オランダ戦では相手にスローインの権利を譲らなかったものの、細部への注意力が足りないと感じずにいられなかった。
デンマークとの神経戦ではジャッジを味方につける必要が!
デンマークとのグループリーグ最終戦は、間違いなくタフなゲームになる。カメルーン戦のパフォーマンスはところどころにスキがあったが、日本が1点しか奪えなかった相手から2点を奪い、しかも逆転で退けている。先行された試合を引っ繰り返したのは32試合でわずか2試合しかなく、11対11での逆転勝ちはデンマークが初めてだ。彼らはしぶとい。勝ち方を知っている。
ここまでの2試合は、主審のジャッジに影響されずに戦うことができた。日本のプレーが激しいながらも正当で、組織的なディフェンスが実現されてきたからだが、カメルーンとオランダが駆け引きを仕掛けてこなかったことも見逃せない。牙を剥き出してくる相手との対決は、実質的にデンマークが初めてと言っていい。
セーフティなバックパスと横パスばかりでは、主審を味方につけることはできない。
失点シーンを巻き戻した先にファウルスローがあったら、それこそ悔やみきれないだろう。
試合に臨むチームが、主審を選ぶことはできない。
数的不利という悲劇に見舞われないためにも、相手に付け入るスキを与えないためにも、ディティールをおろそかにしてはいけない。デンマーク戦はわずかな綻びを探り合う神経戦である。