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12年越しの「1勝1分1敗」の夢なるか。
デンマークに長友と駒野が狙われる?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2010/06/23 11:30
まさか12年の時が流れ、「1勝1分1敗」のシナリオが実現される可能性が生まれるなどと岡田武史監督は想像できただろうか。
1998年フランスW杯前、岡田監督は「1勝1分1敗」をグループリーグの目標に掲げた。結果は3連敗。ほぼ何もできなかった。
だが、今大会に、日本は初戦でカメルーンに勝ち、第2戦でオランダに敗れたものの最少失点の0-1に抑えたことで、もしデンマーク相手に引き分け以上の結果を残せば、決勝トーナメントに進出できることが決まった。まさに「1勝1分1敗」の“岡田理論”が、現実のものになろうとしている。
W杯開幕後、その評価が下がっていった岡田ジャパン。
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ただし、デンマークは簡単な相手ではない。
「予想のプロ」であるブックメイカーのオッズを調べると、グループリーグの下馬評では日本がアウトサイダー(蚊帳の外)と見られている。
6月22日時点のブックメイカー『bwin』(国際的な大手オンライン・ギャンブル運営会社)のオッズは、以下のとおりだ。
日本3.30 引き分け3.20 デンマーク2.15
数字が小さいほど勝つ確率が高いことを意味するので、デンマークの方が圧倒的に「本命」と考えられているということが分かる。
さらに細かい話をすると、開幕前の『bwin』のオッズは、
日本3.20 引き分け3.20 デンマーク2.20
となっていた。
開幕後にデンマーク戦の日本勝利のオッズが3.20→3.30に上がっている。つまり、いざ大会が始まったら、日本の評価はデンマークに比べて相対的に下がっているのである。
デンマークは自分たちのサッカーを貫くのか、否か?
いくら現時点で優位な立場になったからといって、日本としては、これまでの2戦と同じように、“挑戦者魂”を忘れてはいけないだろう。
デンマークには、個で局面を打開できる選手が2人いる。センターFWのベントナーと、右ウィングのロンメダールだ。
グループリーグ第2戦のカメルーン戦では、彼らから逆転劇が生まれた。まず前半33分、ロンメダールのクロスをベントナーが押し込んで同点。さらに後半16分、ロンメダールがドリブルで切れ込んで逆転弾を決めた。年は9歳も離れているが、コンビネーションは抜群だ。
とはいえ、日本としては、この2人どうこうよりも、彼らがチームとしてどういう戦い方をしてくるかの方がポイントになる。
もしデンマークが自分たちのサッカーをやることよりも、日本の弱点を突くことを優先するようだと、ゲームの展開は随分と違うものになる。