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GPファイナルの男子は日本の独壇場。
“先駆者”高橋大輔の危機感と自信。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYUTAKA/AFLO
posted2012/12/03 10:31
NHK杯のSPで、シーズンベストを出した高橋大輔。フリーの後、「(今の出来は)50%くらい。欲張れば30%くらい」と今後への意欲を見せた。
NHK杯が終わり、フィギュアスケートのグランプリシリーズ6大会が終了した。
12月6日にソチで開幕するグランプリファイナル進出者も決定した。
その顔ぶれを眺めれば、あらためて日本男子の躍進が目をひく。すでに進出が決まっていた小塚崇彦、町田樹に、NHK杯で優勝した羽生結弦、2位の高橋大輔が加わり、6名中、4名を日本勢で占めたのだ。過去最多である。さらにファイナル進出はならなかったが、無良崇人のフランス大会でのグランプリ初優勝があり、織田信成もスケートカナダで3位と表彰台に上るなど、故障明けのシーズンで一定の成果をあげている。驚くべき層の厚さである。
それは今後の日本代表争いの激化も意味する。
町田、羽生……若手の勢いに危機感を募らせる高橋大輔。
「来年3月の世界選手権日本代表の3枠に入るのもきついですね」
NHK杯の終了後、高橋はこう口にした。
11月初旬の中国杯ではショートプログラム(SP)1位だったものの、フリーで町田樹に逆転を許して総合2位。迎えた2戦目のNHK杯では、SPで世界最高得点を更新した羽生に大差をつけられて2位という状況でフリーに臨んだ。
その出来は、冒頭の4回転ジャンプに成功するなど、中国杯よりは明らかに向上していた。自身、「プログラムに慣れてきました。ちょっとずつ成長しています」と手ごたえは得ていた。だが、優勝には至らなかった。
「若い選手たちの勢いがすごいので、それに見合った成長なのかどうか」
それほどに日本男子の勢いがあるということであり、危機感を募らせてもいる。
「追いかけているうちに気づいたら、自分が上にいた」
そういう状況の中、日本男子の活躍ぶりに関する質問が、高橋にいくつも飛んだ。その中のひとつに、高橋はこのように答えた。
「シニアに上がったとき、本田(武史)コーチや田村岳斗さんらがいて、追いかけているうちに気づいたら、自分が上にいました。そして織田選手、小塚選手、羽生選手……と続いてきました」
高橋自身、自分の先輩の選手たちを追いかけて、第一人者となった。
そして今は自分が追いかけられる立場にあることを示唆している。