フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
男女でNHK杯を上位独占した日本勢。
GPファイナルは男子6人中4人進出!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2012/11/27 11:00
NHK杯で初優勝を飾った羽生。GPファイナルが行われる期間中の12月7日は18歳の誕生日となる。
スコアと総合1位という順位が掲示板に出ると、キス&クライに座っていた羽生結弦はほっとしたように空を仰いで、こぼれるような笑顔を見せた。
5週間前のスケートアメリカで2位に終った後、NHK杯ではどんな演技を見せたいかと聞くと、こう答えた。
「やはり地元(宮城)なので、笑っていたいです。悔しい表情とかではなく」
その願い通り、盛大な応援の中で初のNHK杯タイトルを手にした。フリーでは転倒もあったものの、SPではスケートアメリカで出した歴代最高スコアをさらに更新。ジャンプのキレ、スケーティングの質、そして表現力などどれ一つとっても昨シーズンから比べて、恐ろしいまでの成長振りである。
「地元だからこそ、あれだけの力が出せた。1位でファイナルに行けるという喜びは大きいです」
会見でそうコメントした羽生は、男子5人目のGPファイナルスポットを手にした。残った一つは2位だった高橋大輔のものに。これでGPファイナル進出の顔ぶれが出揃い、男子は町田樹、小塚崇彦、そしてここで羽生、高橋が進出を決めて男子6人中4人が日本人という過去最多の結果となった。
GPファイナルで3度目の五輪会場に向かうことになった高橋大輔。
中国杯に続いてここでも2位という結果に終った高橋。
「(優勝を逃したことは)悔しいですが、これからそれをバネにして練習に生かしていければ。自分でも自分の成長を疑うこともありますが、これからも成長していきたい」
フリーは中国杯より、ずっと調子が上がってきて冒頭の4回転も成功した。それでも2度転倒のあった羽生に敗れたのは、ショックでもあったことだろう。
「下の世代の成長がすごいけど、取り残されないように。着実にやっていくことが大事だと思っています」
だが26歳になり、すでに五輪メダルも世界タイトルも手にしている高橋にとって、毎試合ずっと連勝することが重要なわけではない。今の彼にとって大切なことは、ソチ五輪という大きな目的に向かっての積み重ねだけである。その意味において、五輪会場で行われるGPファイナルに進出したことに大きな意義がある。3回目の五輪へ挑戦するために、必ず何かをつかんでくることだろう。