ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
内田が解説するレビアー・ダービー。
シャルケ快勝の“歴史的意義”とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/10/24 16:55
ダービーマッチを2-1で勝利し、ピッチで歓びを表すシャルケのメンバー。第8節終了時点でバイエルン、フランクフルトに次ぐ3位につけ、好調を維持している。昨季の3位以上の成績を残せるか。
「これはドイツで最もエモーショナルな試合なのさ」
かつてドルトムントに所属し、現在はシャルケでプレーするメッツェルダーの言葉を引くまでもなく、レビアー・ダービーは常に観客の感情を揺さぶる試合となる。
だからこそ、人々はプラスアルファの部分に注目する。このダービーマッチに何を見いだせるのか。歴史的にどう位置付けることができるのか。
リーグ戦で80回目となるレビアー・ダービーのピッチに描かれたのは、鮮やかなコントラストだった。
今回の舞台はドルトムントのホームであるジグナル・イドゥナ・パルク。ドルトムントには怪我人が続出していた。左SBシュメルツァー、ボランチのギュンドガン、右MFクーバ(ブラシュチコフスキ)、トップ下のゲッツェ。シャルケが欠いたのは左MFのドラクスラー。
苦しい立場となったドルトムントのクロップ監督が選んだのは、フォーメーションに手を加えることだった。普段の4-2-3-1ではなく、過去2シーズン、1度も試したことのない3-5-2へ布陣を変更。この決断の最大の理由は、ドイツ代表の左SBシュメルツァーが欠場したためだった。布陣変更からはチームの状況が透けて見える。
台所事情に苦しむドルトムントとは好対照だったシャルケ。
昨シーズンの初めにクラブは左SBの控えとしてレーベを補強しているのだが、守備力の不安を露呈しており、首脳陣の信頼は厚くない。彼がダービーで出番を得ることはなかった。
そして、もう1人、失意に暮れたのが、昨年11月にジグナル・イドゥナ・パルクで行なわれたダービーでダメ押しゴールを決めてヒーローになったDFのサンターナ。シュメルツァーの欠場で出場の可能性が高まったと考え、故郷ブラジルに住む両親にTVで観戦するように連絡していたのだが、この大一番でDFラインの中央に起用されたのは、ボランチを本職とするS・ベンダーだった。
対照的なのが、シャルケだ。
試合当日まで、ステフェンス監督は迷っていたという。今季開幕戦で起用するなど、正GKとして考えていたベテランのヒルデブラントが怪我から復帰し、この試合を前にコンディションをベストに近い状態へとあげてきた。だが、彼が不在の間にゴールを守っていたウンナーシュタルもいる。ヒルデブラントか、どちらをダービーで起用するべきか……。
ウンナーシュタルが振り返る。
「試合当日の朝のミーティングで聞かされたんだよ、僕がスタメンだってことをね!」