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内田が解説するレビアー・ダービー。
シャルケ快勝の“歴史的意義”とは?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/10/24 16:55
ダービーマッチを2-1で勝利し、ピッチで歓びを表すシャルケのメンバー。第8節終了時点でバイエルン、フランクフルトに次ぐ3位につけ、好調を維持している。昨季の3位以上の成績を残せるか。
バルサから加入したアフェライが学んだダービーの重み。
あるいは、トップ下を務めたホルトビー。昨シーズン4月に行なわれたダービーではピッチに立つことは出来なかった。温厚で、陽気な性格で知られるホルトビーはあの日、肩を落とし、不機嫌な表情で家路を急いだ。だが、今回のダービーでは試合終盤に足をつるほど奮闘し、チームメイトの内田篤人もこう讃えている。
「ホルトビーは……まぁ、こっちの人っていざというときにすごく気合が入るじゃない? 肩の力をぬいて、ということはないからねぇ。でも、今日はよく走ってくれたよね」
そして、アフェライ。今シーズン開幕後にバルセロナからシャルケへとやってきたのだが、ここまで持てる力を発揮しているとは言い難かった。この日、ヒーローになる彼は、チームメイトの助言によって、この一戦を前に心の準備ができたと試合後に明かしている。
「レビアー・ダービーがどれだけ特別な雰囲気を持っているのかっていうことを、みんなが教えてくれたんだよね」
15時半ちょうどにキックオフした試合は、アウェイチームのシャルケペースで進んでいく。ドルトムントが敷いた付け焼刃の布陣は、もろさを露呈した。シャルケの選手たちは、相手の弱点をついていく。
試合前に内田が見立てた通りだった、サイド攻撃からの先制点。
内田が振り返る。
「メンバー表を見たときに監督が(相手の布陣変更の可能性を)言っていたんだけどね。3バックなら……最初の点が入ったときとかもそうだけど、サイドがあくじゃん? 俺なんかは、行けるんじゃないかなと思ってた」
そして前半14分、得点が生まれた。シャルケのボランチ、ノイシュタッターがDFラインまで下がり、GKからのパスを受ける。マークにきたロイスのチェックは甘い。ノイシュタッターは、悠々と、右サイドの裏のスペースにフィードをする。そこに走っていたのが、内田だった。
相手陣内深い位置でボールを受けると、3バックの一角に入るフンメルスと相手の左ウイングバックのグロスクロイツを引き出した。それを見た内田がファルファンにボールを戻すと、ペルー代表MFは素早くクロスを入れる。FWフンテラールが競ったあとにこぼれたボールは、ファーサイドでフリーになっていた左MFアフェライのもとへ。オランダ人MFの右足から勢いよく放たれたボールは、ポストにあたってからゴールに吸い込まれた。シャルケが先制した。