熱パ!クライマックス劇場BACK NUMBER
CSを制した日本ハムの真の強さとは?
セ覇者を脅かす「常勝軍団」の秘密。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/10/22 12:10
クライマックスシリーズ第2戦、ソフトバンク・内川の打球をバックホームしてピンチを救った陽岱鋼。走攻守三拍子そろった活躍で日本ハムの快進撃を支えている。
監督が代わっても変わらないプレースタイルとは?
球団代表の島田利正が統括本部長を務めていた頃、チームが成熟していくきっかけのひとつに稲葉の走塁を挙げた上で、日本ハムの野球についてこう述べていたことがある。
「クリーンナップのホームランや打点がどれだけチームの勝利に繋がったのか? と考えると、全てではないと思うんですね。むしろ少ないくらいです。じゃあ、なかなか点が取れないなかでどうやって勝っていくかといったら、稲葉のような常に全力を尽くしてワンチャンスをものにする走塁であったり、相手に無駄な点を与えない守備。それがしっかりできていれば、たとえ打てなくても勝つことはできるものなんです」
このプレースタイルは、監督が代わっても不変である。
栗山監督にしても解説者時代からそれを理解していたからこそ、監督就任の際にコーチ陣を自分の色に染めることなく既存の布陣を望み、現有戦力の底上げを図ることに重点を置くことができた。
日本シリーズに向け、栗山監督がのぞかせる自信。
「マスコミのみなさんには、『このチームの選手はすごい』と言い続けてきましたが、それを日本全国に示す戦いになります」
指揮官は日本シリーズに向け、そう自信をのぞかせる。
確かに日本ハムの選手はすごい。
そこには、吉川の防御率に糸井の打率、中田の本塁打といった、分かりやすい数字ももちろん含まれているだろう。
だが、日本ハムの本当のすごさは、多くの選手が足で1点を取る、守備で1点を与えないプレーができるところにある。
セ・リーグ覇者は、試合でそれを的確に見極めることができなければ、日本ハムに痛い目に遭わされる。