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満身創痍のヤクルトをCSに導く――。
小川流“日替わりヒーロー”システム。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/09/05 12:20

満身創痍のヤクルトをCSに導く――。小川流“日替わりヒーロー”システム。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

プロ入り7年目の生え抜き遊撃手・川端慎吾。今季、得点圏打率.330(9月4日現在)と勝負強さを見せ、台所事情の苦しいチームを支えている。

指揮官の起用に応えた、苦労人・福地寿樹の活躍。

 そして、3連戦最終日となった2日は、伏兵がチームを救った。0対0で迎えた9回裏、前日に一軍昇格したばかりの雄平が安打で口火を切り、不振が続いていた代打・福地寿樹の、「ここのところずっと結果が出ていなかったので、どこかで一発かましたいと思っていました」という気持ちのこもった二塁打で試合を決めた。

「福地も苦しんでいたから、(今日の一打は)次に繋げてくれると思います。高井(雄平)は、スタメンで2試合出て最後にようやく打ってくれました。これは大きいですね」

 小川監督は、そう言って目じりを下げた。主力を大幅に欠いたことで、普段では滅多にしない選手起用に踏み切る。一見するとそれは、「苦肉の策」や「人海戦術」と捉えられがちだが、決してそうではない。

「残り試合、こういう(主力を欠いている)状況だから、『いろいろやっていく』ということは選手たちにも話してあります」

シーズン終盤で活きる、選手たちのモチベーション。

 初めてファーストを守った川端、4番経験がないミレッジ、代打の福地……。たとえ不慣れな役を与えられても、しっかりと仕事を果たす。それは、小川監督の言葉からも窺えるように、指揮官の「モチベーター」としての手腕の高さもさることながら、選手全員がいつでも試合に出られる準備をより強く意識しているからだろう。だからこそ、順位争いが激化するシーズン終盤の大事なゲームを確実にものにできるし、彼らのように日替わりでヒーローが生まれるのだ。

 時を同じくしてチームの精神的支柱である宮本慎也が怪我から復帰し、主砲のバレンティンも4日のDeNA戦からスタメンに名を連ねた。リーグ2位のチーム本塁打(79本)、同2位の打率(2割5分3厘)、得点(401)を誇るヤクルトの強力打線が、再び本領を発揮してくるだろう。

 いよいよCSも現実味を帯びてきた。順位争いの火はまだ消さない。残り試合、ヤクルトがセ・リーグを熱くする。

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