フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
視聴率低下著しい女子ゴルフツアー。
常連に割って入る新星はいつ現れる?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2012/08/04 08:01
沖縄県出身の比嘉真美子は、今年6月には日本女子アマチュアゴルフ選手権2連覇を果たした期待の18歳。シン・ジエ、佐伯三貴と国内トーナメントでトップ争いを繰り広げたほどの実力を持っているのだが……。
あるテレビ関係者が首をひねっていた。
「少し前であの展開なら視聴率2ケタはいってたでしょう?」
彼が話していたのは6月のアース・モンダミンカップのことだった。横峯さくらと有村智恵というツアーの2枚看板、そして優勝した服部真夕が激しいV争いを展開して海外勢の連勝を7でストップした試合である。
この試合の最終日の視聴率は8.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)止まりで、2ケタの10%はおろか、現時点の今季最高であるTポイントレディス最終日の8.1%にも届かなかった。その彼に言わせると「いわゆるおばちゃん世代、中年女性の視聴者が減っている。データを見るとゴルフの固定ファンの部分はあまり変わってないみたいなんだけど」ということらしい。
つまり今の女子ツアーには浮動票をつかまえられるような“取っかかり”が足りないのである。
選手の顔ぶれがマンネリ化したのも視聴率低下の一因か?
その理由の1つには、新しいタレントが現れづらくなったことが挙げられるのではないか。若さ、新鮮さというのはいつの時代も大きな魅力であるからだ。
「宮里藍」以降と以前を比べれば女子ツアーの選手層は格段に分厚くなった。2003年の宮里藍のアマチュア優勝以前も不動裕理や福嶋晃子といった傑出した選手はいたものの、そのうしろにはまだたくさんの空席があった。
そこに宮里が一気にのし上がり、横峯さくらが登場し、諸見里しのぶや上田桃子らが続いて空席を次々に埋めていった。実力はもちろんのこと、それぞれに個性の異なる新しい選手が毎年のように現れる。そのままツアー全体の活力となり、勢いにつながっていった。
だが、今はそうやって台頭してきた選手たちがプロとしてさらに力をつけた時代である。当然のことながら彼女たちはまだ席を譲る気配を見せない。加えて強力な韓国勢も大きな位置を占めるようになっている。ツアーの底上げは決してマイナスではないものの、新参者がおいそれと入りこめる状況ではなくなってしまった。