ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
関塚ジャパンはレアルになれるか?
スペイン対策十分で臨む初戦の勝機。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/07/26 11:40
キャプテンに任命された吉田麻也は、スペイン戦を前に「持っているものを全部出したい。ここまで来たら楽しむだけ」と語った。
メキシコ戦で垣間見れた、日本の高速カウンターの威力。
メキシコ戦で1トップにスピードスターの永井謙佑、両サイドに宇佐美貴史、清武と仕掛けの速い選手を置いたのは、カウンターを最大限に活かすためのものだ。
実際、試合では永井のスピードを活かしたカウンターを何度も試みていた。スペイン戦、2日前の練習では、齋藤学が2列目に入っていたが、それも同様の狙いからだ。
トップ下に東慶悟を置いたのは、清武とのコンビネーションの良さを活かすというのもあったが、守備の先鋒という重要な役割があったからだ。
1トップと3人の攻撃的MFが守備の意識を高く持ち、ボールを奪ったら素早く攻める。それが実を結んだのが、メキシコ戦の1点目だった。清武が奪い、サイドの永井に展開。縦を突破し、クロスを入れて東が飛び込んで決めた。
「このパターンを意識してスペイン戦も挑みたい。チャンスはほとんどないかもしれないが、メキシコ戦のように必ず隙が生まれる瞬間があると思うんで」
永井は、そう言った。
チーム全体の守備がうまく機能することが、高速カウンターの条件。
ただ、この高速カウンターを活かすには、チーム全体の守備がうまく連動して機能することが前提になってくる。メキシコ戦では各自が守備のタスクをしっかりこなし、破綻なく守れていた。ボールを持たれていても慌てることなく対応できていた。攻守ともに、レアル戦術が浸透しつつあるのが見て取れた。
穿った見方をすれば……レアルほどのチームだから戦術が機能し、バルサに勝てたのだと思いがちだが、あながちそうとは言い切れないと思う。1対1になると個人能力の違いが出るが、日本には組織で戦えるというストロングポイントがある。選手個々が守備の意識を高く持ち、組織で対応すれば、いくらスペインと言えどもそれほど簡単にはやられることはないはずだ。