ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
関塚ジャパンはレアルになれるか?
スペイン対策十分で臨む初戦の勝機。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byREUTERS/AFLO
posted2012/07/26 11:40
キャプテンに任命された吉田麻也は、スペイン戦を前に「持っているものを全部出したい。ここまで来たら楽しむだけ」と語った。
いよいよ今晩、初戦のスペイン戦を迎えるU-23日本代表。前日練習は、冒頭15分程度しか公開されなかったが、チームは明るい中にも緊張感が漂い、いい雰囲気だった。
「ベラルーシ戦からメキシコ戦まで勝てて来れたので流れとしては良かったし、チームの雰囲気もすごくいいっすよ」
清武弘嗣がそう語るように、チームにネガティブな要素は見当らない。選手もスペインを警戒こそしているが、必要以上に恐れていないのが頼もしい限りだ。
それは、おそらくスペイン撃破のイメージが、選手の中で共有できているからだろう。清武は言う。
「しっかり守ってカウンターというのが、スペインには一番効くと思っているし、それをしっかりやろうとみんなで意志統一しているんでね」
スペインのシステムは4-3-3で、2010-2011年シーズンのバルセロナと同じシステムである。2011-2012年、バルサは3-4-3のシステムが主だったが、実はその2シーズンで同じ相手に2度敗れている。
それが、レアル・マドリーだった。
ミニ・バルサ化したスペインを、レアルの戦術で打ち破るイメージ。
4月21日のクラシコではレアルが2-1でバルサに勝ったが、実はその戦い方にスペイン攻略のヒントが隠されている。
レアルの昨季の武器は、1トップからチーム全体に浸透した守備力とボールを奪ってから高速で展開するカウンターだった。
カウンターは、従来のボールを蹴って50:50の確率で競り合ってという類のものではない。1トップのベンゼマを軸に、2列目のクリスティアーノ・ロナウド、エジル、ディマリアが連動するコレクティブな高速カウンターだ。実際、このクラシコの2点目は素早いカウンターでエジルからのパスをクリスティアーノ・ロナウドが受けて、決めたものだった。
日本は、このレアルバージョンでミニ・バルサ化したスペイン攻略の策を練っているようだ。実際、選手たちはリーガ・エスパニョーラの試合をよく見ていたという。