ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
濃密な4年間を経て挑む2度目の五輪。
錦織圭は番狂わせの主人公になる?
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2012/07/25 10:30
4月の左脇腹肉離れから約2カ月ぶりの復帰戦となったウィンブルドンでは、日本男子としては1995年の松岡修造以来となる3回戦進出を果たす。同じ会場で行われるロンドン五輪では、日本勢として1920年アントワープ五輪以来1992年ぶりとなるメダル獲得を目指す。
世界ランク124位で迎えた北京五輪との様々な違い。
北京以降の4年間で、五輪クラスの「大舞台」に何度も立った。痺れるような緊張も震えるような感激も「幾度となく」経験してきた。そんな自負があるのだろう。
北京五輪は世界ランク124位で迎えたが、最新ランキングは19位(7月16日付)。うまくいけばシードがつく。前回とは立場も違えば経験値も違う。
ロンドンは、前回の経験を生かすというより、選手として一回りも二回りも大きくなって迎える五輪なのだ。
四大大会と比べても五輪の注目度は高く、重圧もあるだろう。しかし、そこでものを言うのが経験だ。
会見で述べた五輪への心構えも、地に足が着いたものだった。
「五輪を意識しすぎず、もちろん緊張はいつも以上にあると思うので、気持ちをしっかり持ってやるだけかなと思います」
今年のウィンブルドンなど、芝コートでの経験値は積み重ねつつある。
芝コートでの大会には1シーズンにせいぜい3、4大会しか出場機会はない。ウィンブルドンの開幕前、錦織は芝コートでの戦いについて、こんなふうに話していた。
「まだ得意とも苦手とも言えないですね。試合数をこなしていないので、ハードコートに比べると、まだ自信がついていない。フットワークであったり、どのタイミングでネットに出たらいいのかとか、そこがまだしっくりきていないですね」
しかし、今年のウィンブルドンで3試合をこなし、その後、米国の芝コートの大会では準々決勝に進出している。そろそろこの特殊なコートサーフェスで戦う自信も芽生えただろう。
もともと、環境に合わせたプレーのできる選手だ。
デルポトロ戦では球威に押され、思うようなプレーができなかったが、スライスを交ぜたり、ネットプレーを取り入れるなど、芝コートでやるべきプレーはイメージできているはずだ。その精度を高めていけば、芝でも上位陣を脅かす力はある。