フットボール“新語録”BACK NUMBER
スペインサッカーの模倣は危険?
ユーロの戦術的トレンドを徹底分析。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byEtsuo Hara
posted2012/07/17 10:31
イタリアとの決勝前半14分、“ゼロトップ”のセスク・ファブレガスのパスを受けてダビド・シルバが先制点を決め、大勝の口火を切った。
ブラジルW杯までにサッカーが劇的に変わる可能性も!?
イタリア代表のカッサーノは、ピルロがボールを持った瞬間、相手からキュッと離れて距離を作り、フリーになってボールを受けていた。ドイツ代表のエジルも、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドも同様の動きをしていた。ボールを受ける・引き出すということに関して、新しい感覚を持った選手は増え始めている。
だが、あくまでチームに1人か2人にすぎない。
スペインの場合、全員がそういう感覚を持っているので、「受け手が動き終わる前に、出し手がパスを送る」というとんでもないことを、ごく自然に連続して行なっている。だから、あたかもマークなどいないかのように、どんどんパスがつながっていくのだ。
スペインが牽引役となって、サッカーが劇的に変わりつつあることは間違いない。コピーの段階を終えて、多くのチームが独自のやり方に辿り着き、2016年のフランス大会までに、願わくば2年後のブラジルW杯までに、戦術的多様性の爆発が起こることを期待したい。